学歴と未婚率
学歴で人に惚れたりはしないので、学歴が直接的に恋愛のスタートになることはまずない。しかしそれが、結婚を前提とすると少々話は変わってくる。
特に女性が男性を見定める際は、「収入」が今後の生活を営む上では無視できない要素になってくる。その「収入」に関係してくるのが「学歴」である。
「収入」は今さえ良ければいいというものではなく、その後の人生において、安定的に伸び続けていく必要がある。これがフリーランスだとなかなか難しく、副業でカバーしようとしても安定性が保障されるものではない。
今後、転職をしたり出世を目指したりという将来像を描くときに、相手が高学歴であるということは、ある程度の安心感をもたらしてくれるのである。
※「恋愛と学歴」のコラムでは「高学歴女子」が後半の主眼でしたが、今回はどちらかと言うと男目線の話が多いです
学歴が高いほど、未婚率は低い
「恋愛と学歴」のコラムでは、女性の場合は高学歴であるほど未婚率が高くなるという統計をお見せした。逆に、男性の場合、学歴が高いほど未婚率が低いという傾向も「平成29年就業構造基本調査」という統計から読み取ることが出来る。
学歴(男性) | 30歳以上 | 35歳以上 |
小学・中学 | 34.4% | 34.0% |
高校・旧制中 | 32.2% | 29.3% |
専門学校 | 33.3% | 29.4% |
短大 | 29.2% | 26.1% |
高専 | 28.0% | 26.1% |
大学 | 27.5% | 22.1% |
大学院 | 29.0% | 22.6% |
女性ほど顕著ではなく、緩やかな差ではあるが、やはり高学歴になるほど男は相手をつかまえやすい傾向にある。30歳時点ではあまり変わらないように見えるが、特に大学院卒の男性は35歳までの5年間で躍進を見せている。
男性は女性よりも結婚の猶予期間が長く、30歳を過ぎても出産の壁がないのでさほど不利にはならない上に、大学院卒の学歴がある者なら経済力も十分ついてくる可能性が高いからだ。子供を大学に入れることを考えると、男性は35歳が一つのラインか(定年が65歳であれば5年延命出来そうだが、賃金カーブの傾斜にもよる)。
収入と結婚の関係
「学歴」と「収入」に相関があることは別コラムで示しているが、では「収入」と「結婚」には本当に相関があるのか?
年収(男性) | 既婚者の割合 |
50万円未満 | 13.4% |
50~99万円 | 13.9% |
100~149万円 | 12.5% |
150~199万円 | 13.6% |
200~249万円 | 20.5% |
250~299万円 | 28.4% |
300~399万円 | 33.8% |
400~499万円 | 41.9% |
500万円以上 | 65.4% |
これも同種の統計をもとに作成した表であるが、見事に「収入」が高い者ほど既婚者の割合が高くなる傾向にあることが分かるだろう。このように、「学歴」が高ければ「収入」が多くなりやすい、そして「収入」が多いほど「結婚」もしやすくなることが分かるだろう。
未婚率上昇の原因
現代日本においては、結婚しない若者が増えていると言われるが、大きな原因のひとつはシンプルにお金がないことである。給料は増えないのに税金・社会保険等は増え続けて、可処分所得は減る一方。そしてマトモな教育を受けさせようと思ったら教育費もかさむばかり。貧困化が進む我が国では、結婚して子供を育てるなど、もはや金持ちの道楽と化しつつある。
それ以外の原因としては、生き方の多様化により結婚に対する価値観・イメージ・理想像・求めるものが変わってきたこともある。今となっては、結婚そのものが必ずしも万人にとって幸せになれるための制度とは言えず、結婚を考えたところでそれぞれの立場から求めるものが満たされないアンマッチを引き起こしており、未婚化の進行に繋がってしまう。これにより、お金があっても結婚しない/結婚できないことだってあるのだ。
婚活における学歴フィルター
アンマッチにより結婚に至らないということは、結婚に対する理想と現実のギャップがあるということである。
男性・女性ともに結婚相手を探すときは、自分の価値観・理想・求めるものに応じて、それぞれ相手の条件設定をするだろう。それらの条件が本当に世間一般の常識や実態、そして、自分自身のスペックに見合っているのかという、認識のズレが生じていることに気付いていないのだ。
分かってて敢えて「ここだけは譲らない」というこだわりを持って条件設定してるならまだ良い方だが、大抵の婚活苦戦者は自分の立場が分かっておらず、相手にばかり「求めて」しまったり、自分は「まだまだイケてる」と思ってしまっている。
結婚における学歴フィルター
一例として、結婚においても「学歴フィルター」が存在している。主に学歴で相手の条件設定をするのは女性側である。
女性の殆どは「大卒以上」の男性を希望しており、とあるビジネス誌によるアンケートによれば、女性の8割以上が「大卒以上」の相手を希望、「MARCH以上」に絞っても25%程の希望があったという。
実際に、四大卒以上の学歴を持つ男性は50%前後、「MARCH」をはじめとしたB級大学以上の者は10%前後しかいない。このように、理想と現実には大きな乖離があり、女性全員の希望学歴を満たすことは出来ない。これが、アンマッチを引き起こす背景の一例である。
※ ちなみに、似たような言葉で「ミスマッチ」というワードがあるが、こちらはマッチングした後にズレが発覚してしまうという、さらに不幸なケース(就職でもよく使われるでしょ)
結婚相談所の学歴フィルター
これは余談だが、上記は女性の心の中で設けられた学歴フィルターであるが、結婚相談所を利用する場合も入会審査として同フィルターが待ち受けることが、たまにある。
多くの結婚相談所においては学歴は不問であり、どちらかというと収入・年収を重視する。だが一部の結婚相談所では「大卒以上」を条件とするところがあり、さらにエリート・ハイスペックな男性会員をウリにしているところは、ホームページ等に入会対象となる具体的な出身大学名が記載されているケースもある。
「学歴フィルター」の本家である就活の世界でさえも真っ青なくらいのあからさまぶりである。
普通の男性とは
妥協してるつもりが
理想の相手を聞かれれば、あくまで理想なので何と答えようが自由である。それとは別に、普通の異性とはどのような人なのか・・・現実を見て妥協をしながらイメージを描いたつもりでも、まだ「高望み」の域を脱することが出来ていない。
とあるテレビ番組の特集で、婚活女性が描く「普通の男性」像について取り上げられていたことがあるが、そこで語られた「普通の男性」とは、
外見:星野源さんのイメージ
学歴:日東駒専以上
年収・仕事:都内なら年収500万円以上、地方なら銀行など大手企業か公務員
※ 上記は一例であり、これら以外にも「ジム通い」「鼻毛が出ていない」などの様々な特徴(条件)がございます
と定義される(と考える人がいる)とのことだった。新垣結衣さんとゴールインした程の男性である星野源さんに対してあまりに失礼極まりない話だが、ギラギラした感じの人よりかは「親しみやすい容姿がいい」という意味なのかもしれない。
スペック的な面でみると・・・
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都内在住30代未婚男性の年収中央値は400万円前後であり、年収500万円というイメージとは乖離がある
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大企業(これは中小企業基本法に基づく大企業のことであり、かなり多くの数が該当する)に勤めている日本人は約25%であり、これも普通の男性像からは大きく離れている。さらには、地方では尚更そのような会社に就職することは難しい
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そして学歴は先述のとおり。四大卒であるだけでも上位約半数にあたり、日東駒専は上位20%台
・・・これら全てを満たす男性が、普通であるはずがない。
以上のとおり、婚活女性が描く「普通の男性」とは実際はなかなか高スペックな男性であることが分かる。就活における大手企業側の立場のように、50人・100人くらいの男性が一斉に自分に群がってくるような立場にいるのなら問題はないが、大したスペックもない中では「学歴フィルター」「年収フィルター」「星野フィルター」「鼻毛フィルター」等をかけていては、マッチングなど到底出来やしないのである。
高望みをせざるを得ないのかも・・・
ただし、散々書いたものの、高望み自体は一概に悪いこととは言い切れない。妥協を重ねて条件を年収300万円まで下げてマッチングしたところで幸せになれるとは限らない。
むしろ、給料もそう簡単には上がらず、何かと金もかかるこのご時世では、年収500万円、最低でも400万円は稼げる相手を求めざるを得ないという面は、確かにあるのかもしれない。
また、男性ばかりでなく「普通の女性」のイメージも記載しておきたい。これは、とある婚活カウンセラーによりyoutubeにて発信された動画(再生回数は2ケタ万回を達成している)を元ネタにしており、ネットの掲示板においてもちょっと話題になったことがある(21年1月あたり)。
年齢:32歳まで
学歴・仕事:大卒・正社員
体型:身長160cmくらい・体重40kg台
※ 上記は一例であり、これら以外にも「美意識がある(メイク)」「常識(マナー)がしっかりしている」という努力をされています
女性からすれば、これが「普通」だなんて、
「ふざけんじゃねーよ!!何でこっちだけ年齢制限あんだよ(笑)」
などなど腹立たしくなるのも無理はないが、先述の「普通の男性」と釣り合うには、スペック的にはこれらを達成出来ることが目安になるという訳だ。
つまり、自分が「普通の女性」と見られるスペックを満たしてないにもかかわらず、「普通の男性」を求めてしまうなら、それは高望みと言われても仕方がない。ただし何度も言うが、このご時世では、「普通の男性」と認識される水準のスペックを求めざるを得ないのも理解は出来る(ある意味、結果的には現実的)。
制度崩壊
高学歴・高収入者は一人で生きていける
結婚の、理想と現実
「理想の相手」どころか「普通の相手」とも結ばれない、妥協に妥協を重ねて結婚し、なんだかんだ幸せになれるケースもあるだろうが、若い頃にウットリしながら想い描いていたキラキラした結婚生活とはまるで違い、苦労も多くなることだろう。
あまり幸せに結び付かない「結婚」という制度そのものが、もはや崩壊してきているのかもしれない。何せ、飲食業・家電・サービスの発達により、男は妻がいなくても十分生きていける世の中になってしまった。自分より稼いでおらず年々劣化を重ねて口うるさくなる女を太らせ、子どもに時間も金もトコトン費やしてきた挙句、オヤジになる頃には一家のゴミのように扱われる・・・そんなお父様方の悲痛な人生を見てきた若い男性達にとっては、「あんな風にはなりたくない」と、「結婚」そのものに魅力や必要性を感じなくなってしまうのは自明である。そして、別コラムでも述べたように、女性も学歴・収入次第では全然結婚などする必要がない。
学歴も年収も豊かな生活も老後も、すべて度外視した、相手や子どもへの揺るぎない愛があるならば話は別かもしれないが、それだけで通用するなら誰も苦労したりはしない。
世代間、地域間ギャップ
以上はあくまで例示に過ぎないのだが、このように、結婚の理想と現実のギャップを突きつけられ、結婚に対する価値観・イメージも変化し、結婚しても必ずしも幸せにはなれないということに多くの若者が気付き出している。
平成の中頃までは、「結婚をして一人前!!」などと親などから急かされた人も多かったが、ここ十数年でその価値観は大きく変化している。
田舎では酷いところだと・・・
・・・なんて極めて下劣なことが、つい最近まで言われたような地域もあった(流石に家にもよるけど)。
それでも結婚したい?
王道を進むべき
「好きな人と生涯添い遂げたい」、「子どもがどうしても欲しい」という人もいるだろう。自分だけでなく周りの人も幸せにするには大変多くのお金と努力が必要になる。
一芸を活かして独力で稼いだり、副業で本業をカバーしていく手もあるだろうが、やはり最も手っ取り早いのは学歴を得て稼ぎのいい大手企業へ行くこと(もしくは公務員)。
「アンタ一体いつの時代の話をしてんだ?」という声が聞こえてきそう。確かに安泰とは程遠くなってしまったが、特に何の芸も才能も持たない普通の人間にとっては、これが日本では今のところ、まだまだ一番ラクかつ確実な方法である。
「結婚」「学歴」なんて古い?
「結婚」と「学歴」ともに、日本が近代に突入してからは貧富や家柄にかかわらず、基本的にすべての国民を巻き込んで運用されてきた仕組みではあるが(細かく言うと親ガチャとか家ガチャとかあるけど)、現代における両者には決定的な違いがある。それは、「結婚」はオワコン化しているが、「学歴」はオワコンにみえて実態としては依然健在であること。
男性は、学歴の高い者ほど結婚している傾向があるように、高学歴であることは色んな面で人生の選択肢を拡げることになる。「女性はその逆じゃないか」という声もあるだろう。確かに婚活においては「年齢」の方が女性にとって重要視されていることは間違いないが、男性が家族を養える経済力を失ってきている中、生半可な容姿や若さしか持たない低学歴・低収入女性は、これから婚活市場における競争力を失っていく可能性も十分に考えられる。
「学歴をバカにする者は、学歴に泣く」未来が待っている。
自分にとっての「結婚」とは?
いまの時代、結婚は「誰もが通る道」ではとっくになくなっているが、それでも金銭的な損得勘定を度外視してでも、一緒にいたい相手が見付かることもあるだろう。
そんな時、結婚する人生・結婚しない人生、どちらの道へ進むかという岐路に立たされたとき、高学歴者であれば経済的な理由で結婚を断念せざるを得ない、また、経済的な理由で苦しい結婚生活に陥るような悲劇は避けられる可能性が高いということ(そんなこと考えるまでもなく結婚に至る人達の方が多いのだが、後々残念なことになるケースが多いのは言うまでもない)。
念のために申し上げておくと、「結婚」自体を全否定している訳ではない。それは今どき「しなければいけない」ものではなく、したい人・出来る人がすれば良いという話だ。※ ワシもしてるし ←
この令和の時代、結婚は人生の「目的」などではなく、人生を豊かにするための「手段」のひとつである。