景気によって就活難易度はどれくらい違うのか?

コラム

1年違うだけで。。。

景気が良ければ就活もイージーモードになる、景気が悪ければ就活もハードモードになる、というのは今さら当たり前の話。
有効求人倍率等の統計的な話をしてもイメージが湧きにくいので、ここでは景気のド転換期に新卒就活に乗り出すハメになった、ある男の体験談をもとに、景気によってどれだけ難易度が違ってくるのかの肌感覚をお伝えしたい。

時は、令和3年より10年ちょっと前、有効求人倍率は2000年代初頭の就職氷河期から順調に回復していたが、某国における超大手投資銀行の経営破綻をきっかけとした不況を機に急落してしまった。

内定先としては1年前ではバカにされていた某大手金融機関(30代で軽く年収1,000万円越えを狙える)も、不況になった本年度における同社内定者は勝ち組として羨ましがられるような有り様となっていた。

その男は、大手企業への就活ではエントリーシートの勝率すら5分程度。結局、大手企業からの内定はもらえず、公務員試験も全滅。中堅企業(一応会社法上の分類は「大会社」であり上場もしていたが業界大手とは言えなかった)へと入社することが決まった。
周りの学生を見ると、出来る者は大手企業に複数内定、出来ない者はNNT(無い内定)という、二極化が激しい代だった。

そういう状況を踏まえると、その男の結末はまだマシな方であり、イケメン・学業成績超優秀・スポーツマン・バイト経験豊富・口も上手いという何拍子も揃ったカンペキ学生が何故かNNT、大手金融機関をバカにしておきながら地元の信用金庫にも引っ掛からず精神崩壊を引き起こす者もいたり、大学のキャリアセンターに立ち寄ればアドバイザー相談室のドアの向こうから聞こえる女子学生のすすり泣く声・・・就職戦線はまさに地獄の様相を呈していた。

自分が内定した企業の懇親会に行ってみると、驚いたことにS級大学・A級大学の学生が内定者の半数を占めており、B級大学が最低ラインであった。不景気の時は、例年であれば大手に行けたであろう学生が中小へと降りてくるため、中小企業の採用担当は喜ぶらしい。ちなみに、その会社の大卒社員は例年、B級下位大学~C級上位大学がボリュームゾーンである。

その男は1年浪人して大学へ入ったクチなので、昨年、好景気時に就活した地元の同級生たち(現役合格者)の話も聞いていた。

思い返せば、そこで彼らが話していたのは、B級大学・C級大学の学生(文系・理系問わず)でも誰もが知っている日系一流企業へとアッサリ内定していたこと、

結果だけでなく選考過程や内定後で言うと・・・

「学歴フィルターなどデマ」
「ES・筆記試験は落ちたことがない」
「リクルーター・OB達からの電話が鳴りやまずノイローゼっぽくなった」
「面接の日程調整にはとにかく骨が折れた」
「面接は殆んど雑談だった」
「何件も内定辞退せねばならず大変だった」
「辞退したらコーヒーぶっかけられるなんて都市伝説もいいとこ。実際に振る舞われたのはハッシュドビーフだった」

・・・など、自分が味わってきた就活とはまるで違う、パラダイス以外の何物でもないような別世界の物語が展開されていた。

さらにはD級大学の学生でさえも、不人気業界ではあったものの、知らない者はいないくらいの超有名企業の内定を大学4年になったばかりの4月の時点でゲットしていた。
そして、男が地獄の就活を味わっている頃には、現役で大学へ入っていた旧友たちは希望に満ちたキラキラ新社会人ライフを満喫していたのであった(いっぱい奢ってもらい励まされた。逆に虚しくもなったけど。。)。

そういえば、大学のゼミ・サークルの、1年上の先輩たち(本来は同い年の人たちが多いのだが)も、ゴールデンウィーク前にはみんな悠々と進路を確定させており、茶髪姿に戻っていたように記憶していた。

次は自分の代の番。まぁ、先輩たちの様子を見ると余裕そうだが・・・とか言ってた年の秋に起こった「あの事件」が全てを狂わせてしまった。それから程なくしてニュースで聞こえてきた「内定取消」。嫌な予感はしていたのだが、こんなことになってしまうなんて。。

時流に乗るということ

学歴フィルター以上に残酷

全体を通して何が言いたかったかというと、新卒の就職活動で最もコワイのは、「学歴フィルター」でも、「圧迫面接」でも、グループディスカッションの「クラッシャー」でもない。それは、
大恐慌というバケモノである。
景気の風向きが変わるということは、場合によっては学歴2~3ランク分の影響力が発生し得る。

産まれた年が1年違う、または1年浪人したが故に人生を左右するビッグイベントの難易度が大幅に変わってしまう、ということが起こる。

しかも、リーマンショック、コロナショック、第三次世界大戦といった大事件が何時起こるかは誰にも分からず、景気の動きはぶっちゃけどうしようもないというのが悲しいところ。

採れるものなら採りたいが

景気が悪くなったからと言って安易に採用数を減らすのはいかがなものか・・・それをした結果、空洞化の起きている世代があって悩まされている企業がいっぱいあるのに、また同じことを繰り返すのか、中長期的な目線でもっと見れないのかという声ももっともであるが、企業側からすれば、そんなことは分かったうえでの話。

目先のこととはいえ、高くつく人件費をはじめとしてあらゆるコストを削減しなければ、リーマンショックやコロナショックといった恐慌は乗り越えられない。10年、20年先のことを考えている余裕などないのが今の日本企業の実態である(5年先の中期計画ですら、その通りになりゃしないのだから)。

不景気をどう生きるか

残念ながら景気に恵まれずに大手企業に入れなかった場合は、好景気になったときに転職で逆転を図るという手もある。先程登場した男は新卒入社から数年後、景気が好転して転職市場が盛況になってきたのを見計らい、中堅企業で培ったスキルを活かして大手企業への転職に成功し、人生を大きく好転させることが出来た。

時流をつかむことは学歴よりも大事かもしれない・・・と言ってしまっては元も子もないのだが、特に新卒就活時における景気の風向きについては、完全なるガチャであり、自分でコントロールすることなど出来ず、これは運命として受け入れるしかない。

ただ、景気がどうあれ、就活を成功させる確度を上げるためには高い学歴ランクを獲得しておくに越したことはない。転職で逆転を図ろうにもファーストキャリアは重要な要素なので、新卒で出来るだけイイトコに入れるように、早いうちからお勉強を頑張りましょう。

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