大学入学共通テストから大学合格までのすごしかた

コラム

いよいよ本番

年内入試として総合型選抜などがとっくに始まっており、早くも合格を勝ち取って一足早く春を迎えた受験生もいるようだが、一般入試に臨む受験生は年明けから厳しい冬(本番)を迎えることになる。

入試本番の時期は最長で3月下旬まで続くので結構な長丁場なのだが、その間に色んな試験が目白押しとなり心身ともにハードな中、混乱・錯乱して道を見失ってしまうケースもしばしばある。

この3ヶ月間、長いようであっという間であり、テンポよくステップを踏んでいくためにも、今後の道のりを予習しておこう。

あけおめ〜共通テスト前夜

プレテスト結果は「預言」ではない

結果に一喜一憂するものではない

年明けの直前期に、学校で共通テストのプレを1本受ける人もいるだろう。校内順位の集計が精一杯で公式な判定は出ないだろうが、それでもある程度、出来は測れるはずだ。

だが、直前期の勢力図というのは一日一日大きく変化するもので、問題との相性もあり、本番がその結果通りに運ぶ訳ではない。

本番で達成しなきゃ意味がない

特に怖いのは、直前プレテストでギリギリ目標点数をクリアしてしまった時だ。「やった、ついに◯割越えた!間に合った!!」という達成感があまりにも大き過ぎて、心のどこかに油断が生じやすい。これを自信とするのは良いものの、心が弱いとそこでスキを見せがちなので要注意だ。

直前プレテストまであと少し目標を越えられなかった・・・だけど本番でやっと越えた!というのが理想的であり、そもそも越えられずとも第一志望校へ出願するのが現役生にとっては普通の戦い方である。

直前プレテストは時間配分・ペース配分等の最終確認、盲点の気づきをメインに使うべきであり、目標点へのこだわりは否定しないが、その結果に振り回されて自滅するのは論外。

お昼寝厳禁

共通テストの前日から、既に本番は始まっている。

共通テストは丸2日の大勝負。それに万全の状態で臨めるようにするためコンディションを整えておくのは当然であり、十分な睡眠はその基本となる。共通テスト直前という只でさえ気分も高揚する中、その日に迂闊に昼寝をしてしまうと夜寝れなくなるのも当然であり、睡眠が足りないと本番で本来の力は出せなくなる。

本番1時間目からグーグー熟睡し、あっさりこの1年を棒に振ってしまった者も目にしたことがある(その後、見るに堪えないことになったのは言うまでもない)

共通テスト前日は、日中は死んでも起き通すことが大一番だと思って過ごそう。受験生であれば普段から早寝早起きの習慣は身に付いているはずで、まさか正月ボケなんてアホはやらかさないと思うが、体調不良などで万が一生活リズムに狂いが生じている場合は早めに直しておくことも大切。

共通テスト当日

答え合わせはやはりNG

ネットでの即日解答速報もとうの昔に当たり前となり、その日のうちに結果は分かるのだが、見るのは受験する科目がすべて完全に終わってからにしておいた方が得策。

答えは気になるところで「自分の中でケリを付けておいた方が次の試験に臨みやすくなるから敢えて一日目で答え合わせする」という考えも一理あるのだが、結果として意気消沈してしまうリスクがあまりに大きい。これでは、まだこの先、より少しでも多くの点数をもぎ取れるはずだったところ、余計に悪い結果へとはたらいてしまうだろう。

例外は、追い詰められた時ほど実力以上の力を発揮出来る者であるが、過去を断ち切れない心の弱い者にそんな底力があるだろうか・・・?

それでも解答を見るなら自己責任で(“一問だけ”というのもやめておけ。悪いことは言わん)。

共通テスト終了後~出願

判定関係なし!Eでも出願一択!!

共通テスト時点での現在地に過ぎない

共通テスト終了後は自己採点をして出願校を検討することになる。予備校からの判定も程なく判明するが、現役の場合はいかなる判定でも第一志望への想いを曲げてはならず、判定など待たずとも共通テスト2日目が終わったその日から即日速攻で二次試験対策に踏み切るべきである。

判定というのは、志望者全体における位置・傾向に基づいた一般的な合格確率を表すものでしかない。本来、個々人の判定というものは共通テストと二次試験の配点や、個人の得意・不得意次第で確度は変化する。A判定でも落ちる者はおり、E判定でもチャンスをモノにした成功者はどんな大学・学部にも必ずいるのである。

C判定は祝杯ものなんだぞ

特にアホらしいのが、B判定かC判定かの違いをチマチマ気にすることであり、一般にランクの高い大学ほど二次試験の配点は高く、そんなものは二次試験の大問一つでいとも簡単にひっくり返る。

「受かる」ことや「大学生になる」ことが一番大事なら中途半端に悩んだところで何も得るものはないので、さっさと行ける大学に行ってしまい次のステージで頑張れることを見つけるべきだが、第一志望校への愛を貫き通すならば、共通テストの判定ごときで諦めてはならない。

それでも志望校を変えるときは

ここまで書いておきながら・・・とはなるが、足切りをクリア出来そうになかったり、二段階選抜がなくとも共通テストの配点が高い中で失敗して実質的に足切りとなってしまいそうな場合や、後がない浪人生については慎重に進路選択をせねばならないだろう。

共通テストで不本意な結果に終わった場合、真っ先に先生・家族等に相談するのはちょっと待とう。予備校によるデータ集計結果や判定を待ち、自分で進路の答えを出すのが先だ。

気持ちが非常にブレやすい時期には冷静な判断力を失い、中途半端な助言が入り交ざれば人生が一気におかしな方向へと向かいかねない。それに、人に決めてもらった人生では自分の中で納得して先にも進めないだろう。

自分だけで決めるのは難しいことかもしれないが、「自分はこうしたい」というものを持った上で相談に臨むべきであり、出題傾向・必須科目・大学で学べる事・大学卒業後の進路など、どこかに落とし穴・盲点がないかの確認・調整のために大人たちを利用してみよう。そもそも「第一案」がないと、相談される方も困ってしまうのだ・・・。

親へ結果を伝えるときは

親は気が狂うほど心配らしい

共通テストで「B判定以上」「〇〇〇点以上」などの出願条件を親から突き付けられている受験生もいるだろう。

「金を出すなら口も出す」のは、この世の常であり、受験生には抗うことが出来ないのはなんとも残酷である。

しかし、あと一歩だけその条件に届かなかったとき、第一志望への強い想いがあるのに、最後まで戦いもせずして諦めることが出来るだろうか?真正面から親を説得出来る自信があるならいいが、そうでないなら・・・。

決める権利はある。ただし責任は負う

親に対する倫理観に誠実となることは否定しない。むしろ本来はそうあるべきなのかもしれないが、その一方で人生に責任を持つのは自分自身、決めるのも自分自身であるべきであり、「自分はまだやれる」と思うのなら、敢えて二次試験へと挑戦できるよう親に伝えるのも一つの手である。

ただ、本当は厳しい局面に立たされているにもかかわらず、周りにはそれを悟られないように戦い抜くには強靭な精神力が必要であること、仮に逆転合格を果たしたとしても親を欺いてしまったという罪悪感が多かれ少なかれ生涯残ってしまうはずである。失敗した時に生じるであろう経済的普段も将来、親に必ず償わねば地獄に落ちる。

やるなら、たとえそれでも成し遂げねばならない夢を持っている者が、相応の覚悟を持って臨んでいただきたい(ワシなら戦わずして諦めるなんて出来ない)。

“特攻”でも“切腹”でもない

余談だが、ワシの友人は旧センター試験でまさかの大コケをやらかし、確実に足切りにかかると分かっていても、東大へ出願した。

真の受験生ならば、これは理解出来るはずである。

私立大学受験

現役は併願など無用

行きたくないとこは受けんでよい

国公立大学を本命としている者は、現役の場合は私立大学を受けて滑り止めなど考えてはいけない。

私立大学の一般入試枠は年々減らされており、科目が少ないからと言ってそう簡単に併願合格できるほど容易いものではない。さらには格上の国公立大学志望者も多く併願してくるため、第一志望の国公立大学に比べると明確に格下と言われる私立大学しか併願合格は難しいのが実情だ。

余計なことは避けたい

2月の終わりに国公立の前期試験を迎える身にとっては私立大学の対策をしている余裕はないはずで、下手をすれば二兎を追うもの状態に陥るリスクもあり、第一志望大学に強い想いのある現役生ならば浪人覚悟で国公立一本に注力するのが筋である。

共通テスト後の国公立大学二次試験対策で、特に現役生の二次力は最後の爆発的な追い上げを見せる。それまで浪人生には歯が立たずとも最後の1か月で一気に追い抜いていくのが現役生にとっての普通の戦い方であり、秋までの模試の判定など何の参考にもならないくらいだ。それほどまでに二次試験の直前期とは1分1秒たりとも無駄にできないものである。

併願する場合

そこまで第一志望の国公立大学に思い入れがないのなら私立併願も全然アリだが、就職市場だと大手企業は私立大学だとGMARCH・関関同立以上をラインとして学歴フィルターを設けることが今でも全然息づいている。C級以下の私立大学を視野に入れる際は、今後の人生のハンデを重々認識したうえで臨んでいただきたい。

後がない浪人生の場合は私立併願も致し方ない。共通テスト利用などあらゆる方式を駆使し、出来ればB級以上が望ましいが景気次第で学歴フィルターのラインも落ちることはあるので(逆もあり得るが)、やや不本意なレベルであっても合格を一つは確保しておこう。これだけでも「後がない」という重圧は取り除かれて幾分身軽になれる。

個別試験直前(国公立・私立いずれも)

会場下見

遠方の大学を受験する場合は試験前日に移動をすることになるが、戦地に到着した後は当然ながら、翌日ホテルから会場へ向かうことをイメージしながら下見をしておこう。

当日は尋常でないくらい混むので、下見でスムーズに行けないようでは本番でも想定外の事態に躓く可能性がある。余裕をもって会場にたどり着くにはどれだけの時間が必要かを見積っておくこと。

宿

今更遅いかもしれないが、前泊するホテルは、安いからと言ってあまり古いところはやめておいた方がいい。防音対策が甘いところが少なくなく、夜しっかり眠れないリスクがあるからだ。

古さのせいかはわからないが、ワシの国立前期試験の前日は、ホテル客室での壁の内部でゴーという機械音が一晩中鳴りやまず全然寝れなかったので、このクソホテルのせいで浪人をする羽目になったと言っても過言ではない。

また、出来れば試験会場への送迎バスが付いているホテルが望ましい。先述の通り、当日は想像を上回るほど大量の受験生で混雑するので、よりスムーズに到着できる手段があるなら利用しない手はない。

 

あと、遠方だろうと試験会場に親同伴で行くのはやめとこう。

個別試験当日

孤独のグルメ

同じ学校・予備校の学友が同じ大学の試験会場にいることもあるだろう。戦場であれ、知った顔を見て談笑すると落ち着くものだが、試験問題の感想など何気ない一言によりかえって不安にさせたりされたりと要らぬリスクもあるので、この時間だけは敢えて一人で修羅の世界にひたすら心を置き続ける方が無難かもしれない。

相手にとって不足はない

見るべきは知った顔よりも、ライバルたちの表情である。あまり私立大学を下に見るような意図はないのだが、特に本命の国公立大学二次試験においては、滑り止めの試験会場で見た受験生達とはその顔つきがまるで違うはずである。

どこの会場にも、答え合わせをし合ってウェーイとハイタッチ交わしている軽い連中もいるものの(大抵ソイツらは落ちている)、ライバルたちの真剣な眼差しを見れば、その佇まいに圧倒されてはいけないが、自分も負けていられないと大いに奮い立ってくることだろう。

国公立後期まで

学校の小論文対策はアテにするな

国公立大学の前期試験が終わると、多くの高校では卒業式を迎える。そして余韻になど浸る間もなく卒業証書が納められたワニ柄の筒を傍らに置いて、ひたすら後期試験の勉強に励むのが、高校3年間を締めくくる麗らかな一日の現実である。

それはそうと、国公立大学の後期試験といえば小論文を課す大学が多くなる。「先生は小論文の対策もしっかりやってくれる」と自信満々な進学校も見られるが、大抵の場合、一見尤もらしいアドバイスをくれながらも実際は小論文の基本的な書き方すらままならないただのトーシロが多かったりするので、過度に信用しすぎず小論文対策本一冊やりこんだ方がよほど有益である。意見やコメントを貰う分には利用してよいが。

その他

物件探しも過酷な競争

晴れて大学に合格すると、実家より遠方の大学の場合は一人暮らしを始めることになる。だが、学生向け物件の場合は仮押さえをして不合格だった場合は取り消しをできること(合格前予約)が多いので、当然ながら早めに動かないと良い物件はすぐおさえられてしまう。

合格発表後に物件探しを始めるのは遅すぎるが、個別試験後どころか、共通テスト後に仮押さえをしてしまうことも今では珍しくないとのこと・・・。進路選択や最後の対策に必死な時期に物件探しとは酷なものだが、こういう時こそ親を使うべきか(でも自分で部屋決めたいよね~)。

最後に

マークミスや、受験番号の書き忘れといったポカにはくれぐれもご注意を。

「オレはこんなアホなこと絶ってーやんね~よwww」と軽く思っている奴ほど、よりによって一番大事な場面でやらかしてしまうものである。

 

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