構成大学
・芝浦工業大学
・工学院大学
・東京都市大学
・東京電機大学
レベル帯
B級下位~C級中位
概要
生い立ち
正式名称は「東京理工系4大学」という。「電農名繊」のように工学系をメインとした理系専攻の大学であることは容易に想像がつくだろう(実は一部違う大学もあるが:後述)。
当大学群の特徴として、構成大学自身により公式に結成されたグループだという点が挙げられる。当大学群の誕生には、当時の時代背景が大きく関係している。
学生の地元志向
時は1990年代の前半。それまで一極集中に歯止めがきかなかった我が国の首都、東京であるが、バブル崩壊を機にその人口流入スピードが鈍化していた。
仕事が集まる場所・所得水準の高い場所に若者は集まってくる傾向があり、バブル崩壊後は有効求人倍率の低下に伴って東京への人口流入が勢いを失っていた。これは、まだ就業前の大学生も例外ではなく、90年代前半は上京してくる学生数が減少していた時代だった。
理系離れ
もう一つの厄介な問題として若者の理系離れがあった。80年代後半、バブル期真っ只中の頃からそれは既に始まっており、当時ウハウハだった日系企業が「財テク」に精を出し始め、それまでの日本を支えてきた製造業ひいては技術職等が軽視されるようになってしまった。ちなみに、製造現場等を嫌う「3K(きつい・きたない・きけん)」という言葉が流行り始めたのもこの時期からである。
バブルが弾けた後も、今度は企業が海外進出・拠点の海外移転を始め、一方で国内の拠点では外国人労働者も増える中、多くの日本人技術者がリストラの憂き目に遭う羽目に。それを見ていた学生にとっては、理系の魅力が薄れて見え始め、安定性を求めて総合大学志向が強くなっていった。そのような経緯から、かつては花形と呼ばれた工学部の人気にも陰りが見えることになってしまった。
結束
このような、上京する学生数の減少、若者の理系離れという二重苦を乗り越えるために結成されたのが、当大学群「四工大」である。多くの大学群のように受験界等、大学の外部で勝手に形成されたグループではないため、自然と群内での偏差値・就職実績には差が出ている(と言っても、抜きん出た大学が一校あるという感じだが)。
立地等
「東京」と一口に言っても・・・?
当然、各大学とも主に東京に所在する大学であるが、それぞれキャンパスは都心にも郊外にもいくつかある。東京都市大学・東京電機大学は学部ごとにキレイにキャンパスが分かれている感じだが、芝浦工業大学・工学院大学は1・2年次は郊外、3・4年次は都心でという流れが多い。
工学院大学は八王子→新宿になるが、八王子に住むか中間地点である府中あたりに住むかが迷いどころらしい。新宿は家賃が高いので選択肢にはなりにくいかもしれないが・・・。
四工大の交流
東京都市大学・東京電機大学は情報工学・システムデザイン工学、芝浦工業大学・工学院大学は建築の偏差値が高い。
「四工大」では各大学の特色・得意分野を学生がフル活用できるように、単位互換制度を設けており、一定の制限はあれど他の大学の講義も卒業要件としての単位数に参入することが出来る。これにより受講できる授業の範囲が格段に広がるというメリットを享受することになる。
ちなみに、芝浦工業大学は国立大学である香川大学とも単位互換制度を設けている(香川大学と東京圏の大学生対流促進事業)。
また、「四工大」のほかの大学院へ推薦枠で進学できる特別推薦入試制度も導入されている。普通に考えると芝浦工業大学への希望者が多くなりそうだが、実態はどうなのだろうか・・・
社会的評価
エース 芝浦
大学群としての生い立ちも特徴的ではあるが、やはり当大学群で頭3つ分くらい抜きん出た芝浦工業大学の存在も目立っている。偏差値は群を抜き、有名企業400社への実就職率も30%を上回り、同ランキングにおける上位の常連校となっている。
実際に就職先の企業を見てみると、就職者数上位には大手自動車メーカーや大手鉄道会社など、誰でも聞いたことのあるような有名企業が並ぶ。その就職実績の高さから、「GMARCH」理系よりも優先して進路選択がされることもあり、準一流水準のB級大学としてランクしている。
やはり理工は強い
他の3校も同ランキングにおける就職率は2割近くの実績を出している。
大学 | 実就職率 |
芝浦工業大学 | 33.0% |
東京都市大学 | 19.5% |
東京電機大学 | 18.5% |
工学院大学 | 17.3% |
とはいえ、理工系の学部がメインの大学でありながらも「GMARCH」「関関同立」の水準を下回ることから、ランクとしてはC級大学に位置しているが、就職率を見るに学歴フィルターの心配はあまりないと考えていいだろう。
理系の就活では、研究室を通した「推薦応募」があるので文系に比べると学歴フィルターは薄い・緩いとも言われてきたが、年々「自由応募」の比率が上がっているので、理系においても学歴フィルターの存在は無視出来なくなってきた。いずれにしろ、当大学群は企業ウケは良いので、大学名だけで落とされる可能性は低い。
知名度
関東では、理系の受験生等にはよく知られており、難易度の割に就職が良いという高コスパから人気も高い。
しかし、地方での知名度はまだまだなところがある。可哀想に、東京の電車ではたまに「四工大」に属する大学の広告を目にすることがあるが、旅行客やお上りさんからは「Fラン?」と勘違いされてしまうこともある・・・。
S級大学である東京工業大学ですらも同じ悩みがあるくらいなので、これは理系の単科大学での宿命だと思って受け止めるしかない(○○工業高校とかのイメージが強いからだろうか・・・?)。
大学在学中は悔しい思いをすることもあるかもしれないが、卒業後にイイ会社入って、マウント取ってやろうぜ(笑)。
文系学部もある
こういう大学群名なので、コテコテの理系というイメージが強いが、実は文系学部も存在する。それは東京都市大学の「人間科学部」「都市生活学部」である。
同大はかつて武蔵工業大学という理系専攻の大学であったが、2008年に東横学園女子短期大学を併合し、なんだか男らしい感じの大学名から一変して、現代的なイメージの大学名に変更された。それに伴い上記文系学部も設立されたという経緯がある。つまり、東京都市大学は「四工大」の一員ではあるが、現在においては総合大学なのである。
「人間科学部」は保育士となる人が多く(そういうカリキュラムなので)、「都市生活学部」は不動産業界への就職が最多。宅建で問われる都市計画法等を学べるのだろうか。また、東京都市大学は東急グループに属するので、同グループへの就職も強いようだ。