東京と学歴(東京に住むメリット)

コラム

世界の大東京

世界一の都市圏人口

我が国の首都であり、政治・経済・文化等の中心地、「東京」。かつては「江戸」と呼ばれ、18世紀の時点で既に人口100万人を上回る世界屈指の大都市であり(参勤交代による影響が大きかったのだが)、朝鮮通信使を驚かせた東の都は「大江戸」とも称される栄華を極めた。

現代においては市域人口は950万人超だが、都市機能の影響が及ぶ範囲を含めた「都市圏人口」では3,500万人を上回る。2位のジャカルタ都市圏がだんだん差を縮めてきてはいるものの、2021年現在においても堂々の世界第1位である。世界の中における日本の国際的地位が危ぶまれている今日ではあるが、その莫大な人口より産み出される地力はいまだ陰りを見せず、なお世界の中心都市であり続けている。

ニューヨーク・ロンドン・パリと並んで「世界四大都市」と称されることもあり、2021年には新型コロナウイルスの世界的流行がおさまらない中で「東京2020」と銘打たれたオリンピック・パラリンピックを成功させ世界の注目を浴びた。我が国が世界に誇る超巨大都市、それが「東京」である。

東京一極集中

そんな東京には、日本の人口の約3割が集積しているだけあり、国内のあらゆる文化・資本等が詰め込まれている。大学や企業もその例に漏れず、ありとあらゆる有名大学や大手企業が東京にはゴロゴロ存在し、その器にかなったエリート達も東京ではひしめき合っている。

戦後以降、「集中の経済」により多くの企業が東京に進出してきた経緯もあるが、平野部の少ないわが国では関東平野のような広大な平地は貴重な存在であり、地形的要因からも「東京一極集中」が加速した。

ちなみに、我が国よりはるかに中心都市への一極集中が進んだ国としては、韓国が挙げられる。ソウル都市圏には韓国全国民の約半分が居住するという圧倒的な集中ぶりであり、同国第2位の釜山でさえも衰退が著しいという。ソウルは38度線に近い都市だが大丈夫だろうか・・・

東京で学び働くということ

東京に集まり過ぎ

というわけで東京は、良い大学の宝庫であり、稼げる仕事も地方とは比べ物にならないほど多く見つかる。この段落では各種データを用いて、東京の一極集中ぶりを可視化してみる。

東京に本社を置く企業の割合

東証一部上場企業 本社所在地

都道府県 企業数 割合
東京都 2,029 53.4%
大阪府 434 11.4%
愛知県 222 5.8%
神奈川県 179 4.7%
兵庫県 106 2.8%
福岡県 82 2.2%
埼玉県 68 1.8%
京都府 63 1.7%
静岡県 51 1.3%
千葉県 49 1.3%

日系225採用銘柄 本社所在地

都道府県 企業数 割合
東京 169 75.1%
大阪 22 9.8%
愛知 8 3.6%
京都 5 2.2%
静岡 4 1.8%
千葉 4 1.8%
神奈川 3 1.3%
福岡 3 1.3%
兵庫 2 0.9%
長野 1 0.4%
滋賀 1 0.4%
山梨 1 0.4%
広島 1 0.4%
山口 1 0.4%

先述のとおり、東京には日本の大手企業の大部分が集積しており、東証一部上場企業・日経225ともに東京に本社が所在する企業が高いパーセンテージを示している。特に、より伝統的な優良企業が集まる日経225については、東京への集中度合いがモノスゴイ。

ちなみに、現代も創業地に本社を置いている大手企業も見られるが、これは実質的に登記上置いているだけであり、本社機能の大部分を東京に移しているケースも少なくない(創業地と東京の両本社制)。

有名企業400社実就職率 TOP50大学の所在地

都道府県 大学数 割合
東京 24 48%
愛知 4 8%
京都 4 8%
大阪 4 8%
北海道 3 6%
秋田 2 4%
福岡 2 4%
兵庫 2 4%
宮城 1 2%
新潟 1 2%
神奈川 1 2%
静岡 1 2%
千葉 1 2%

次は大学の就職実績。実に約半数を東京の大学が占めている。東京に本社を置く大手企業が多い中では当然とも言えるが、その東京をホームグラウンドとして就職活動が出来るアドバンテージの大きさが数字にも現れている。

平均年収(所得)

順位 自治体 都道府県 平均所得
1位 港区 東京都 1163万1584円
2位 千代田区 東京都 1005万6536円
3位 渋谷区 東京都 885万5483円
4位 中央区 東京都 684万3638円
5位 芦屋市 兵庫県 652万842円
6位 目黒区 東京都 636万1652円
7位 文京区 東京都 621万1041円
8位 世田谷区 東京都 565万3167円
9位 新宿区 東京都 555万5123円
10位 川内村 福島県 553万3609円

上記は総務省により発表された2020年度の統計であり、全国平均所得は343万円となる。見ての通り、TOP10のほとんどを23区内の自治体が占めている。給与水準の高い大手企業が集う東京で就職すれば平均年収(所得)が上がることも不思議ではない。ただ、上の表は事業所得や株取引等による所得も含んでいるので、給与所得だけだと全体的に数値はもう少し下がるとは考えられる。

東京23区の中でも大きな差がついており、富裕層の多い港区・千代田区ではグーンと数値ははね上がる(メチャクチャ稼いでいる者が少数でもいれば平均値は一気に上がるものだが)。最下位は足立区であり、確かに港区とは対照的なイメージのあるエリアだが、それでも全国平均年収を上回る数値である。東京は金持ち、勝ち組も集まっているのである。

別世界 東京

東京都市圏は日本の人口の3割が集まるが、大手企業やカネの集まり度合いは、その水準すらも遥かに上回っていることが分かるだろう。以上のデータはほんの一例に過ぎず、大学や企業のみならずありとあらゆるヒト・モノ・カネが東京に集まる。デキる人達の多くは東京に行き、有名大学へ通い大手企業へと進む(公務員も一部)。旧帝大などの地方の名門に通っていた者も、就職を機に上京する者も少なくない。

これを書いている本人は、地方に産まれ、地方の大学へ進学し、地方のちっぽけな企業でファーストキャリアを迎えた。当時は、「東京のことしか眼中にない東京モンこそが視野が狭い真の田舎者だ」とばかり考えていた。しかし、上京してから日本の中にある別世界を目の当たりにし、そんな芋虫のような考えは瞬時に覆された。

地方の方々(特に大阪)からの反感を承知で言う。この日本という国の構成は、
「東京」と「その他」である。

住めば都(元から都だが)

生活費について

「上京しよう」とか言うのは簡単だが、東京の高い物価に不安を覚えて二の足を踏む人が多いことも事実だろう。それについては「恐るるに足らず」というのが答えである。

スーパーなどで売っている食材や日用品は、確かに田舎に比べるとちょっと高いとは感じるかもしれないが微々たる数%程度の差であり、上京3日もすれば全然気にならなくなる(近くに高級志向のスーパーしかないと詰むけど。この点はよく調べておこう)。

一方でやはりバカ高いのは家賃であり、一人暮らし用のマトモな部屋なら、地方の都市部と比べても家賃相場は最低3万円以上の差は見ておいた方がいい。東京のエリアによっても上下するところはあり、女性はセキュリティが厳重な物件や治安のいいエリアを選ぶ必要も考えると家賃も人によって様々なので、もっと高くつく場合もあるだろう。

ただし、東京は自動車を持つ必要がなく、自動車は税金・駐車場・保険・車検・高速代・ガソリン代・メンテなど、とにかく金食い虫である。それを踏まえると自動車を持たなければ、トントンとまではいかないだろうが、かなり家賃分の差は埋まってくるはずである。

もちろん、結婚して家庭を持つようになれば家賃は3万円程度の差では済まないが、めでたく東京の大手企業に入社できれば社宅・家賃補助等の福利厚生を受けられる可能性が高いので無問題だろう(会社により程度の差はあるが)。東京の物価は地方に比べれば確かに高いのだが、過度に恐れる程ではないということは述べておきたい。

とにかく「ネタ」が尽きない

日本の中心地なだけあり、東京には全国からあらゆるものが流入してくる。国内最大のマーケットを逃すはずもなく、チェーン展開する店舗は東京へ出店し、音楽・展覧会等のイベントも東京をスルーするような酔狂はなかなか仕出かさない。各県の名だたるお土産も有楽町のふるさと館へ行けば労せずに手に入ってしまう。このように東京に住むと、待っているだけで多くのモノやサービスを享受することが出来る。

日本国内のみならず海外からも流入があり、コロナ前はインバウンドにより日本各地で外国人観光客は見るようになったものの、一時的な旅行者だけではなく、日本に暮らす外国人労働者数は元々の人口比でみても東京が圧倒的に多い(2位の愛知県の約4倍)。

事実、東京では仕事の中でも当たり前のように外国人と関わる機会に溢れており(出身国もバラエティに富んでいる)、外国人が溶け込み共生している真の国際都市と言えるのは日本において東京を除いてはなかなか見当たらないだろう。

銀座や表参道へ行けば、高級・大衆向け、日本で有名・無名問わず海外の名門ブランドが溢れ、都内の5つ星ホテルでは日本ではここだけでしか味わえない海外料理店が入り・・・東京は世界中の「一流」が集う場所であり、公私ともに様々な感性を磨くには最高の街である。

ただ「一流」に触れるためには、それなりの出費が伴う。東京の給与水準は高いが、金銭感覚を狂わせない程度にしておこう(笑)。

日本中・世界中どこでもひとっ飛び

国内外に対する交通網の発達も圧倒的なので、先述のような流入が起こる訳だが、そのようなインフラが発達しているということは、逆に東京から地方や海外へも出向きやすいということも意味する。

ちょっと本場の十勝豚丼を食べたいと思い立ったらすぐ羽田から新千歳空港へ飛び立つことも可能。新幹線や飛行機を駆使すれば国内の主要観光地は、東京からならだいたいどこでも労せずに行くことが出来る。

国際線も成田空港から海外約120都市へ就航しており、日本の玄関口が隣県にあるので世界が身近に感じられる。東京以外のことも手軽に楽しみやすいところも、東京に住む醍醐味の一つである。

いい意味でドライ

人によっては、これは決定的なメリットかもしれない。地方はとにかく付き合いが煩わしく、職場でも、飲み会が多いのはまだ良い方、いい歳こいて「運動会」で息を切らし、心身共に疲れに行くだけの「慰安旅行」だの業務外の余計な行事に気を遣うことになる(幹事になったら地獄を見る)。

田舎は助け合いの精神があるものの、普段からの犠牲があまりに大きい。会社・上司にもよるが、東京では仕事とプライベートの区別はハッキリとしており、仕事に活かすためのアイスブレイク的な飲みニケーションの機会や、歓送迎会・忘年会くらいは設けるものの、参加することが目的になるようなバカバカしい過度な付き合いや行事は極力減らす傾向がある。

また、これほど巨大な街に住むと、休日にバッタリ職場の人と鉢合わせるようなことも極めてゼロに近く、安心してプライベートを満喫することが出来る。過度に干渉される文化がないので、職場を離れたら上司・先輩・同僚・部下・後輩はもうただの「赤の他人」。聖域を犯されることなく自分の世界に入りたいときはどっぷり浸かることが出来るのも、東京の良いところである。

このあたりは、大手企業内でも事業所の所在エリアによって全く文化が違ったりする。

地方の現実とあなたの未来

地方は厳しい

東京一極集中に加え少子高齢化による人口減少も重なる中で、地方は非常に厳しい時代を迎えている。新型コロナウイルス流行によりリモートワークが一気に普及し、東京からの地方移住が叫ばれるようになった。しかし、いまだ地方が元気を取り戻す兆しは見えてこない。

地方移住をしたところで生活費が劇的に削減される訳でもなく、様々な不便ものしかかり、子供の転校問題、さらには365日フルリモートまではなかなか難しく、営業などリモートワーク自体の限界もあり、結局東京を離れる訳にはいかないのだ。

先述のとおり、東京と地方には大きな格差もあり、東京はまだまだ人口も経済も伸びる一方で、地方は衰退しているエリアが殆どである。はるか昔から議論のある「道州制」も、結局は州都への集中が進むと言われ、地方創生はもはや幻となっている。

書いている本人も地方出身であり、今も地元の発展を祈り見守り続けてはいるものの、街は再開発で一見小綺麗に見えるが中身のないスカスカなハリボテが出来上がるばかり。あまりに残念ではあるが、力のない地方都市は、もはや「諦め」の段階に来ているのかもしれない。日本各地の伝統や文化を守らなければいけないのは重々分かるのだが・・・。

東京の果てしなさ

東京一極集中が良いことだとは思わないが、それに歯止めがかかっていないこともまた事実である。上京するも、地元に尽くすのもそれぞれの生き方ではあるが、少なくとも一生に一度は東京に住むという経験をしてみて損はない。

高収入で仕事が出来る人達がゴロゴロおり「このままでは満足出来ない」「自分はまだまだだ」「年収1,000万円なんかじゃ終われない」という気持ちにさせてくれる。同じ日本の中でもこの街は別世界であり、何年居ても底が知れないという「果てしなさ」を体感出来る場所だ。

地方でなんとなくモヤモヤしているという方も、思いきって上京してみると道が拓けるかもしれない。「田舎で通用しないクセに都会で何が出来るんだ?」と考えがちだが、東京は地方とは環境が大きく異なる(先述のとおり)うえに、チャンスもゴロゴロ転がっている。地方で負け知らずだった者が東京に挑戦するというよりは、地方でくすぶっていた者が上京してから炸裂するというケースの方が体感的には多く聞く。むしろ地方で負けている奴ほど東京に来た方が良いのかもしれない。

※ただし、環境も会社も人によって合う合わないがあるので、上京したからといって100%成功を保障するものではありません。人が多すぎる、満員電車などのデメリットも当然あるので、そこは耐えられるのかをよく検討(体感)してください。

決心がつかないなら

東京をよく知らない、あまりイメージが出来ないという方は、一度東京スカイツリーの展望台に登ってみると良い。果てしなく拡がる超高層ビルの海と、そこから満ち溢れる無尽蔵のエネルギーに圧倒された日には、男なら「この街で一旗揚げてやる」と奮い立つことだろう(俺だけ?田舎者丸出し?  笑)。

ま、それは大げさだとしても、市場の巨大さは一目で分かるはずなので「ここで一度働いてみたい、挑戦してみたい」くらいは感じるのではないだろうか。
※ これは写真では伝わらない。現地へ足を運び、自分の目で見て、実感すること

その景色が心に響いたなら、「上京」を本格検討してみよう。逆に、景色を見てみても「ふーん・・・」程度で終わるなら、無理して来る必要はない(笑)。

 

ドライなところもある街だが、「誰でもウェルカム」なのは、東京の最も素晴らしいところである。

 

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