大学入学共通テスト(旧センター試験) 8割の壁

コラム

一流大学への壁

厳しい第一関門

国公立大学を目指す上では、大学入学共通テスト(旧センター試験)は避けては通れぬ道となる。特に難関大学と呼ばれるラインであるA級大学を狙うのであれば、「8割」という得点率が壁として立ち塞がってくる。

特に大変なのは、A級以上の国立大学が相手となると、5教科7科目フルで合計8割の得点率を獲得しなければならないことである。
※ 22年の試験は難しかったので8割は全然要りませんでしたが(笑)
※そして23年度もどうも8割も要らなさそうですね(笑)

私立大学の共通テスト利用入試のように得点の高かった科目を数科目採用してくれたり、1~2科目でも浮く場合はそれ以外の科目に多くの勉強時間を集中させることが出来る。

それに対して国立大学のように多くの大学で全教科が必須になる場合は、上記のような受験方式とは負担が大きく変わってくる。また、いずれかの科目で致命的なミスが起これば取り返しの付かない事態にもなりかねず、受験生にかかるプレッシャーも半端なものではない。

求められる得点率(目安)

その年の問題の難易度にもよるが、A級大学である「地帝」(阪大以外)や神戸大学では、8割前後の得点率を要求され、比較的易しめと言われる学部学科でさえも7割台後半は必須になっており、看板学部においては8割2~3分程求められる年も珍しくない。

A級上位大学の阪大にもなれば8割5分近く、S級大学だと足切り程度の意味合いでしかないが、一応共通テストでの得点率と合格率との相関は見られ、合格者は8割台後半はもちろん、9割近い得点率を獲得してくる者もゴロゴロいる。

700点ではまだ少し足りない

旧センター試験の時代から、900点満点中700点を越えれば格好が付くという印象であった。ただ、700点に到達すればB級準A大学は射程圏内に入るものの、A級の一線を越えるにはもう一踏ん張りして8割の720点を捉えたいところ。

750点を越えると歓声を浴び、800点を越えてしまうと、あまりに出来すぎるので逆に気持ち悪がられるかもしれない。

ちなみに、受験生にとってはもう少し先の未来の話にはなるが、年収も、TOEICスコアも「700」を越えてくるとちょっとカッコいいぞ(なんのハナシや)。

公立トップ校の実力

確たる情報はないが・・・

毎年、試験本番が終わると、程なくして高校別平均点の情報がネット上にのせられる。ただし、信憑性がどれだけあるのかが分からないため、参考情報程度のものとはなる。

例年、大半の生徒がS級大学に入るような全国区の有名私立中高一貫校ですら平均点で800点には届かないとのことだが、S級大学は2次試験が配点のほとんどを占めるため、それらの大学を志望する受験生は共通テスト対策にはあまり力を入れていない。仮に、彼らが本気になって共通テスト対策に臨めばもっとすごい数値が弾き出されることだろう。

地域格差も校内格差も激しい

一方で、各県トップクラスの公立進学校ではどうだろうか。江戸時代の藩校を起源とする伝統校(旧制一中)など、地元の期待を背負う進学校が各県に存在するが、県によって意外と格差が激しい。

全国最上位クラス

東京や大阪、その他政令指定都市で1番となる公立高校は全国的にもその名が轟いており、地元のA級大学に100名近い生徒が合格したり、S級大学にも数十名が入るレベルにある。そして肝心の共通テストの点数だが、平均点では700点を上回ってくるが、これは逆に言えば、平均700点を越えられるような公立進学校は全国にも数えるほどしかなく、より高い次元にある得点率8割(720点)を獲得するハードルの高さを物語っている。

全国上位クラス

平均点で7割5分前後の公立進学校も名の通った高校がよく見られる。このクラスでも東大・京大どちらかはほぼ確実に2桁合格者を出してきているが、ボリュームゾーンはB級大学レベルといったところ。

標準的な「県トップ公立校」

平均点が650点(得点率7割2分強)前後の進学校は、県トップクラスの公立高校としては標準的な水準である。ここら辺の高校だと、中間層ではC級大学(つまり地元の標準的な国立大学)に進学する生徒が多いが、地方だと校内格差も激しくなるので、平均点が高くなくとも東大・京大に2桁合格者数を出す高校もある。

それより下位

そして、県で1番の公立進学校でも平均点が7割を下回るケースもあり、地域格差がなかなか激しい現状があるようだ。

頭イイ高校でも上位に食い込め

このように、県内では、もてはやされる学校に入っても中間層の生徒は7割前半あたりで苦悩する。ここから抜け出して7割5分を越えた辺りでB級大学に手が届くが、そこから8割にまで抜け出すことは並大抵の努力では厳しいことが分かるだろう。

8割に到達する道のり

最初はみんな出来ない

最終的に8割以上の得点率を叩き出せるような受験生でも、最初のマーク模試(高校3年生の6月くらい)では600点を越えるのがやっとという者も少なくはない。

大学入学共通テストは時間との勝負になる科目もある上、選択肢の吟味の仕方など、試験の形式・流れ・時間配分等に関する慣れがどうしても必要になるので、基礎が身についていても結果に表れてくるまでには時間がかかる。さらには、秋のマーク模試は軒並み問題の難易度が上がる傾向にあるため、点数がなかなか上がらずに意気消沈してしまうこともしばしば。

終盤で急激に伸びる

だが、年末近くに実施されるプレテストは本試験のレベルに近くなる上、そろそろマーク模試にも慣れてきている頃なので、秋の終わり頃から点数が伸び始める。ここで7割5分を越えられれば全然可能性はある。

あとは本番までの1か月半、徹底的に弱点を分析・克服して一気に8割にのせていこう。実は、模試問題を解くこと自体と同じくらい、模試を受けた後の解説の読み込みが物凄く大事。納得するまでよ~く読まねばならない。時間は惜しいだろうが、これを疎かにするのは得点力アップのチャンスを捨てることと同義であり、演習の意味が半減してしまう。解いて点数付けただけで終わり、また、解説をチラっと読んだだけで「こんなアホらしい問題やってらんね~次行こ!」と開き直ってしまっては伸び悩みは必至。それでも納得いかなかったら、先生に質問してでも納得させよう。得点力は本番直前、最後の最後の瞬間までUP出来る。ちなみに、本当にアホらしい悪問が一定数あるのは事実だが、仮に本番で悪問・奇問が出たとしても、受験生はどの道解かねばならない。

このように、本番前の2か月程で急激に点数は伸びていくものであり、共通テストも二次試験も、本番ギリギリに間に合わせるのが現役生にとっては普通の戦い方となる(A判定を取れているに越したことはないが、それなら特にこだわりがない場合、もう少し上のランクを目指すべき)。したがって、秋の終わりごろまでは厳しい時期が続くであろうが、焦る必要は全くない。

得点配分

科目ごとに目標を設定

全科目で8割を越える必要はなく(トータルで8割でOKということ)、得意科目・苦手科目あるので、科目によって得点率のがあるのは当然である。むしろ、共通テスト利用の私大受験の場合は、得点の高かった科目を優先的に採用してくれる場合が多いので、波があったほうが有利に働きやすい。

難関国立大学を受験する場合も、全体で8割の得点率があればよく、得意科目で9割、普通の科目で8割、苦手科目で7割という組み合わせでもOKである(受験する大学・学部・学科によって、配点に偏りがある場合は注意)。

なので、9割を獲得できる科目を、国数英から1科目、社会理科から1科目、というように少なくとも計2科目は作っておきたい。

英語は高得点必須

得意科目・苦手科目はそれぞれあると思うので得点配分は好きに設定すればいいのだが、とはいえ共通テストにおいては得点しやすい科目と、そうでない科目が一般的にはある。

例えば、得点しやすいのは英語である。旧センター試験から大学入学共通テストに変わったことをきっかけに、英語の試験はTOEICにより近いイメージとなり、英文の分量が増え、さらなるスピード感が求められるようになった。ただし、英文の難易度自体は高くないので、難関大学を目指す受験生にとっては、適切な時間配分を心掛け、速読力を身に着ければさしての脅威ではない。また、英語は科目数が少ない入試方式でも必須科目として扱われたり、配点も高く設定されることが多いので、英語で高得点をゲットしておけば武器になる。したがって、英語は8割では満足せず、9割・・・いやいや満点を目指す勢いで臨もう。

また、英語は大学受験が終わった後も、この先の人生で長い付き合いとなるケースが多いので、ここで頑張って貯金しておいて損はないはず。

国語は鬼門

逆に、点数が取りづらいのは国語である。この科目はセンター試験時代からとにかく水物であり、安定して8割以上を獲得するのは至難の業である。よって、7割でいいと言いたいところだが、ひとまずは150点を取りにいくつもりでいってみよう。

以上の通り、おススメの得点配分としては、国数英は、国語7割・数学8割・英語9割。社会理科からも3科目チャレンジするので、得意科目9割・普通科目8割・苦手科目7割という構成でバランスがとれるだろう。

最後に

あくまで第一関門に過ぎない

難関国立大学を目指す受験生にとっては当たり前のことかもしれないが、共通テストで8割を越えたからバンザイという訳ではない。

A級以上の大学だと、2次試験の方が配点が高く、一部変則的な入試を除けば、どんなにセンター重視な配点でもほぼ、共通:2次=1:1となり、共通テストだけで逃げ切ることは出来ない。つまり、共通テストと2次試験どちらも高いレベルで出来なければならないのである。

11月あたりには各大学個別の模擬試験も各大手予備校主催にて実施されるため、秋に共通テスト対策に没頭する訳にはいかないのも辛いところ。

目指せ、A級大学

A級の一線は、見かけの偏差値以上の分厚い壁となる。だが、これを破ることが出来れば、将来は大手企業への就活の際に、採用重点校の学生として不利なく、面接の舞台で遺憾なくパフォーマンスを発揮する場を与えられる。つまりは、今後の人生の選択肢を拡げるための戦いである。

これは人生の中でもトップクラスにプレッシャーがキツい勝負であり、特に年末年始あたりの時期になると、受験生としては緊張・不安で大変辛い精神状態にあることだろう。

プレッシャーを感じることは良いことである。それだけ、大きな壁に対して真剣にぶつかっているということであり、若いうちから懸命に人生を生きる自分自身のことを誇りに思ってよい(いい大人になっても逃げてばかりの連中がどれだけ多いことか・・・)。

自負を持ち、難関国立大学への第一関門である「8割の壁」を突破出来るように、最後まで頑張ろう。

※ これを言っちゃあオシマイかもだが、2次力に自信があるなら共通テストが7割5分くらいでも、2次の配点が高いところへ特攻しちゃうのもアリだとは思う。ただし、それは玉砕覚悟であるということを忘れずに。最後はボーダー付近1点2点の勝負になるので、共通テストで付く点数差もバカには出来ないです。責任はとれません(笑)。

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