年収と学歴(大学別年収)

コラム

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難関大学出身者はいくら稼げる?

学歴ランクと年収の関係

「大卒」と「大卒以外」の学歴差や、企業規模によって生涯収入が大きく変わってくることは別コラムでも述べた。「大卒」でも大手企業への内定を勝ち取るには、まずは就活での勝負の土俵にのぼるため、よりランクの高い大学に入っておくことが必要となる。

では、それぞれの難関大学・有名大学の卒業者達は、社会に出てから実際どれだけ稼いでいるのだろうか?「大卒」で大手企業という属性(別コラムでは第1階層と呼んだが)の者が、最も多くの生涯収入をゲット出来ることは統計により明らかとなったが、「大卒」の中でも特に高学歴と呼ばれるS級大学やA級大学(おまけで+B級大学)の出身者は本当に将来、高給取りになっているのだろうか?

大学別の年収や生涯収入については、関係する政府統計は残念ながら見当たらないが、民間での調査結果が存在する。OpenWorkという転職サイトがあるが、当サイトに登録された各大学出身者の年収と年齢の分布がアルゴリズムによって集計され、出身大学別の想定年収が年齢別に算出されたデータがある。集計対象となった人数は10万人を越え、対象大学は200校を上回る。30歳時点での年収TOP30校について、他に25歳・35歳・40歳・45歳時点での年収・順位が公開されている。
※なお、OpenWorkは筆者も転職時に利用したので、出身大学の集計年収を引き下げ、大いに足を引っ張ったことだろう

注意点

こちらのOpenWork集計のランキングだが、実は小さく「大学院は除外」と記載されている。これの意味するところは明確ではなく、

学部卒業ベースの大学で集計している(学部:名古屋工業大学 ⇒ 院:名古屋大学だとしたら、名古屋工業大学として集計)
② 大学院修了者は最初から集計対象外

の2通りが考えられる。①であれば学歴ロンダリングを補正出来るので、それはそれで面白いデータとなる。だが、もし②であれば、理系の優秀層が多く含まれる院進者の年収が集計されていないことになり、「旧帝国大学」や「電農名繊」にとっては不利なデータとなってしまう。あまり考えたくはないが、もし②だとしたら、これは歪みが生じたランキングであると言わざるを得ない(ちょっとヤらしい表記をしてるよな~・・・)。

以後は、上記②でないことを前提として話を進める。

全体感

結論から言うと、多少は地域格差に起因するディスアドバンテージによるものと思われるズレは見受けられたものの、やはり大学ランクどおりの結果になったと見ている。登場する大学は以下の通り。

S級大学:4校(全部)
A級大学:8校(全部)
B級大学:17校
ランク付け対象外:1校

B級大学では、「参考」としてランキングに入れていた防衛大学校も参戦している。C級以下のランクである大学の名前はない。以前は、横浜市立大学が唯一のC級大学として参戦していたが、22年4月更新にてめでたくB級へ昇格したため、C級大学はいなくなった。ランク付け対象外の1校は東京薬科大学(薬学系の大学は対象外)。

25歳時点:若手社員

順位大学学歴ランク年収
(万円)
1東京大学S505.3
2慶應義塾大学A478.3
3一橋大学S475.0
4京都大学S458.0
5国際基督教大学B441.8
6大阪大学A440.2
7早稲田大学A437.8
8名古屋工業大学B427.8
9東北大学A427.2
10防衛大学校B427.1
11上智大学B426.7
12横浜国立大学B425.8
13東京理科大学B425.2
14東京工業大学S424.4
15神戸大学A422.1
16名古屋大学A419.2
17九州大学A418.9
18筑波大学B415.2
19北海道大学A407.2
20同志社大学B405.3
21中央大学B404.7
22明治大学B402.8
23電気通信大学B400.3
24青山学院大学B400.1
25大阪府立大学B399.6
26大阪市立大学B394.9
27横浜市立大学B392.0
28東京都立大学B388.7
29京都工芸繊維大学B385.6
30東京薬科大学341.2

まずは25歳。浪人や留年の有無にもよるが、だいたい学部卒の場合は3~4年目、院卒では1~2年目にあたる。この時期はまだ役無しの完全なる下っ端であり、これから主任クラスへと上がっていくという段階だろう。このような若手社員の段階では、まだ大手企業と中堅企業の間で大した差は現れない。流石に小企業・零細企業の場合だと初任給(基本給)で20万に達しないところも珍しくないので、その給与水準よりは確実に上だが、難関大出身者でも若手のうちはせいぜい年収400万円台、良くて500万円をちょっと上回る程度である。

年収ランキング表にもそれが表れており、早くもトップ層はS級大学が占めつつあるものの、それ以外はバラついている印象だ。若手の平社員では企業規模で基本給にさほど差はないため、残業やボーナス次第では、中堅企業が大手企業を年収で上回ることがよくある。しかしながら、中途半端な企業にしか入れなかった就活失敗者が入社直後に抱きがちな「あれ?オレの給料って意外とイケてんじゃね?(笑)」などという勘違いは、数年後に脆くも打ち砕かれることとなる。(後述)

なお、S級大学の出身者や、A級大学の早慶出身者は、総合商社や大手金融機関、外資など給与水準が高く年功序列にも縛られない超一流企業へと入社する者も多いため、入社3年程度でも年収600万円以上をアッサリと達成出来るケースは少なくない。流石である。

30歳時点:主任~係長

順位大学学歴ランク年収
(万円)
1東京大学S763.1
2一橋大学S697.4
3慶應義塾大学A687.0
4京都大学S675.2
5東京工業大学S649.5
6早稲田大学A625.1
7国際基督教大学B614.5
8名古屋大学A614.2
9大阪大学A611.6
10神戸大学A610.9
11上智大学B600.0
12東北大学A595.6
13横浜国立大学B595.2
14防衛大学校B595.1
15九州大学A585.8
16電気通信大学B583.6
17東京理科大学B583.0
18北海道大学A582.8
19大阪府立大学B575.9
20名古屋工業大学B572.2
21大阪市立大学B570.9
22同志社大学B569.2
23筑波大学B567.7
24京都工芸繊維大学B564.8
25中央大学B563.2
26東京都立大学B563.1
27東京薬科大学561.3
28明治大学B560.4
29横浜市立大学B558.9
30青山学院大学B554.8

企業にもよるのだが、30歳を迎える頃というのは、主任から係長へ昇格しようとする時期だろう。それは、若手社員から中堅社員への脱皮を意味する。古くからの日系大手企業では、そのような節目の時期に相応しい儀式として、係長昇格・昇進に際しては、レポート・論文・研修・グループディスカッション・面接など厳しい試練を課すことがある。

普段の業務におけるアウトプットはもちろんのこと、上記のような昇格・昇進試験を乗り越えてようやく係長の座を手にすることが出来るのだが、このタイミングで壁を設けられる理由としては、中堅社員にもなれば管理職と若手の間に立って、実働部隊のリーダー格として業務を推進することになるため、若手の時とは働き方が変わってくるという意識付けとしてやっている(ほとんど形式的にやっている会社もあるが)。

前置きが長くなったが、厳しい試験を潜り抜け、一段高いレベルの業務もこなすことになるため、当然給与水準は跳ね上がることになる。さらには、このタイミングから徐々に大手企業と中堅企業との年収差がハッキリと現れ始める。企業により幅はあるが、係長クラスで年収700万円を軽く飛び越えていくような大手企業も少なくなく、大手で30歳過ぎの係長クラスが、中堅企業以下における40代以降の管理職の給与水準を簡単に上回ってしまうこともあり得る。

ランキング表では、既にS級大学の東京一工はすべてTOP5に入っており、上位にはA級大学の比率が高まってきているのが分かり、若手(25歳時点)とは大きく状況が変わっている。このように、30歳時点でもう覆し難い差が付き始めてきており、我が国においては、逆転を志すならば、着手は早いほうがいいということである。

35歳時点:課長補佐(課長代理)~ 若手課長

順位大学学歴ランク年収
(万円)
1東京大学S945.2
2一橋大学S900.6
3東京工業大学S861.2
4慶應義塾大学A852.8
5京都大学S848.4
6神戸大学A773.9
7早稲田大学A767.9
8横浜国立大学B763.2
9大阪大学A761.6
10国際基督教大学B745.6
11上智大学B740.2
12名古屋大学A737.3
13東北大学A737.1
14北海道大学A729.6
15東京理科大学B728.4
16九州大学A725.7
17筑波大学B720.5
18東京都立大学B717.7
19名古屋工業大学B712.5
20大阪府立大学B702.4
21電気通信大学B698.9
22大阪市立大学B697.8
23同志社大学B697.0
24防衛大学校B685.7
25東京薬科大学682.2
26中央大学B681.8
27横浜市立大学B680.2
28京都工芸繊維大学B674.4
29明治大学B673.1
30青山学院大学B666.2

入社から10年余りが経過し、仕事もバリバリこなせるようになってきた頃、職位としては順調に進んでいれば管理職一歩手前の課長補佐クラスに在籍していることが多いだろう(肩書の名称としては「係長」であることも多いが、これも会社によってさまざま)。また、35歳にもなると順次、課長級への管理職昇進が、同期の中で優秀な順から始まっていく頃だろう。目安ではあるが、35歳前後で課長に昇進出来ていればなかなかイイ線いっている言ってよい。このように、同期との競争の中でもこの辺から明確な差が付き始める時期でもある。

ランキング表を見ると、全体的な傾向は30歳時点とあまり変わらず、トップ層はS級大学、その次にA級大学が多くランクインし、下位層はだいたいがB級大学という結果である。トップの東京大学は1,000万円目前、最下位の方では600万円台となっており、これまでと比べて差が拡大しているのが分かるだろうか。

男性が結婚して子供を設けて色々と出費がかさみ始める30歳過ぎから、その後30台半ばにかけて一気に給与水準が伸びていくのが大手企業の古くからの特徴であり、そこが中堅以下の企業とは大きく違うところ。30台前半での伸び方の差が反映されたのが、この結果である。

40歳時点:課長

順位大学学歴ランク年収
(万円)
1一橋大学S1065.2
2東京大学S1062.7
3東京工業大学S1000.7
4京都大学S982.0
5慶應義塾大学A956.4
6大阪大学A888.1
7神戸大学A885.2
8横浜国立大学B882.1
9早稲田大学A869.6
10筑波大学B847.8
11上智大学B844.9
12東北大学A836.2
13東京理科大学B829.3
14防衛大学校B821.5
15北海道大学A817.7
16国際基督教大学B814.8
17東京都立大学B811.2
18名古屋大学A808.2
19九州大学A805.8
20名古屋工業大学B805.0
21東京薬科大学801.5
22大阪府立大学B800.3
23同志社大学B785.3
24大阪市立大学B784.1
25横浜市立大学B779.2
26電気通信大学B769.8
27中央大学B766.2
28青山学院大学B750.7
29明治大学B747.7
30京都工芸繊維大学B724.8

30代半ばから順次実施されてきた管理職への昇格・昇進も、だいたい40歳に達した辺りで終わりを迎える。つまりは、40歳前後の時点で課長になれているかどうかで、その会社における出世競争において「先があるか」どうかが見えてくる。(一つの基準であり、それ以降でも昇格・昇進出来るケースはもちろんある)

ランキング表を見ると、TOP4校は綺麗にS級大学で埋め尽くされてしまい、在京の3校は金額も年収1,000万円を越えてきている。それにA級大学が続いてくるという流れも変わらず。日系大手企業における課長職の年収目安としてはだいたい1000万円前後(課長になってから年次が浅いと、もう少し下がるか)。やはり難関大学・有名大学である程、大手企業へと入社出来る確度が高く、さらにはそこでしっかりと出世出来ているということが読み取れる

ただし、それは全員ではない。 有名企業400社への就職率が最高峰である、一橋大学や東京工業大学ですらにその数値は50%程度。その他大手・外資・公務員への就職者数を加えたとしても、S級大学だからと言って大手企業水準の進路が約束される訳ではなことが分かる。さらに、就職時に成功出来たとしても、出世の際には一定数の脱落者も出る。学歴ランクが上がっても、それは高給取りになれる確度が上がるという話である。

45歳時点:課長~次長

順位大学学歴ランク年収
(万円)
1一橋大学S1189.8
2東京大学S1155.3
3京都大学S1092.5
4防衛大学校B1079.8
5東京工業大学S1053.7
6慶應義塾大学A1010.4
7大阪大学A991.0
8東京薬科大学989.7
9神戸大学A951.2
10早稲田大学A949.6
11筑波大学B927.5
12上智大学B927.0
13横浜国立大学B926.6
14東北大学A899.0
15大阪府立大学B897.8
16横浜市立大学B881.2
17東京理科大学B877.2
18名古屋大学A867.3
19北海道大学A855.6
20大阪市立大学B852.0
21同志社大学B848.6
22電気通信大学B842.0
23国際基督教大学B841.3
24名古屋工業大学B839.3
25九州大学A832.0
26中央大学B830.4
27東京都立大学B825.9
28青山学院大学B825.8
29明治大学B807.6
30京都工芸繊維大学B756.4

係長昇格・昇進の時は厳しい試験が課されるとはいっても、大手では1~2年遅れで、なんだかんだ殆ど全員が上がれる。課長にも数年の差は出てくるものの、大手では結局半数以上がなれてしまう。だが、年功序列が色濃い日系大手企業であっても、そこから先はなかなか厳しくなる。

近年、課長は管理職とは言ってもプレイングマネージャーが多いが、部長やその副である次長にもなるとよりマネージメント色が強くなり、さらに厳しい選抜がなされる(会社によっては、次長は課長とそれ程変わらない役割のところもあったり、そもそも次長という役職自体がないところもある)。

45歳で転職する人数は若い世代に比べると多くないためどれだけ参考になるのかは分からないが、ランキング表のTOP層はやはりS級大学の面々が並ぶ。一橋大学や東京大学では年収1,200万円近くの稼ぎになるところは、やはり凄い。45歳時点になってからS級4大学による頂上決戦の中に割り込んできた防衛大学校は特殊なケースだが、昔でいう軍の士官学校(予科)のようなもので幹部自衛官の養成所となる。大手企業では課長級でキャリアを終える人がボリュームゾーンであるように、幹部自衛官では二佐(いわゆる中佐までは到達出来る人が多いとのこと。その階級で手当込で年収1,000万円を越えてくるのだろう。防衛大学校・東京薬科大学以外は、TOP10までA級大学以上が占めている。

まとめ

各学歴ランクの集約結果

各ランク・各世代の平均年収をまとめると、以下の通りとなる。分かりやす過ぎてつまらない程、綺麗に学歴ランク順という結果になってしまった。(下表の単位は:万円)

学歴ランク25歳時30歳時35歳時40歳時45歳時
S級465.7696.3888.91027.71122.8
A級431.4614.1760.7858.4919.5
B級409.6576.0705.0797.9869.8

また、一橋大学が年齢によっては東京大学を上回ったり、神戸大学が大阪大学といい勝負をしていたり、横浜国立大学が上位に食い込んだりと下剋上も見受けられる。これらの大学は経済学部をはじめとした社会科学系の学部が強く、伝統的に商社・金融といった給与水準の高い企業への就職実績を上げていることが勝因であろうか。

一方で、地方の旧帝国大学は苦戦気味に見え、S級A級で大差が付く原因になってしまったようにも読み取れるが、圧倒的影響力を持つ地元エリアにおける就職が多く、しかも地方には大手企業が少ないためそもそも大手への就職自体が突出して高いわけではない(それでも「GMARCH」以上だが)。それ故に大都市圏に比べると年収の伸びに限界があるのか、年齢を重ねるごとにランキング上では微妙な立ち位置になってしまっている。ただし、学歴的なポテンシャルとしては高い大学群なので、仮に首都圏での就職希望者が増えると大きく数字を上げてくることが考えられる。

私立大学を見るとより差が鮮明であり、早慶が強いのは言うまでもなく、上理ICUクラスも「中の上」あたりで健闘していることがわかるが、GMARCHクラスではランキング上は下位層になってしまう。推測の域を出ないが、大手企業への就職率は高いのだが、一般職・エリア限定総合職への就職が比較的多いのだろうか?

学歴社会は全然終わっていない

以上の通り、学歴ランクと年収は相関関係が認められる。ちなみに「因果関係はない」とよく耳にするが、それは本当だろうか??

学歴ランクが高ければ、事務処理能力・読む能力・そして書く能力(書くのは国公立と私立で差がある)も一般的に高いので、仕事でも評価に繋がりやすい(コミュ力はまた別だが)。この点から考えると、確かに「元々の能力が高い結果として、学歴ランクも年収も両方高くなっただけでは?」という見方も出来なくはない

しかし、「学歴フィルター」の存在からも分かるように、学歴ランクが高ければ給料の高い職業へ就きやすいという日本における新卒採用のシステムを考えると、学歴ランク⇒年収という因果関係も否定出来ないのではないだろうか。

ここに出てくる大学の場合は、どこも日本人の平均年収や中央値よりは遥か上をいっており、すべて高学歴・高年収と言っていいだろう。しかし、その中でも大きな格差があり、少しでもランクを上げておくことがその後の人生の可能性を拡げることに繋がるということが分かる(一番大事なのは個人の実力であることなど言うまでもないが)。

目安として、S級大学は外資を含めた超一流企業への可能性が広がり、A級大学は日系大手企業への就職は不利なく進められる(総合商社などの超一流・超難関企業は除く)。B級大学は大手企業の就活では学歴フィルターこそかからないものの、エントリーシートの審査・筆記試験の合格ライン・リクルーター面談の機会など、本格的な選考に入ってからも意外とのしかかってくる、様々な不利な点を乗り越えながら内定を掴み取っていくことになる。

ちなみにC級大学でも国公立大学であれば、学歴フィルターを通り抜けられる確率は高いと言われる。ただし、地方に所在する大学がほとんどのため、大都市圏まで出てきて大手企業を受ける機会は頻繁には持てず、最終的には不利な結果となる。

最後に、もうひとつ注意点

なお、日系大手企業は競争力が低下しており、先に紹介した賃金カーブ等はジリ貧企業では改悪されていく運命にある。特に賃金の上昇が著しかった30代前半での伸び幅が今後は抑えられたり、管理職への昇格・昇進の枠はだんだん狭まってくるだろう。

トヨタですら年功序列制度の維持は厳しいと言っている中ではあるが、サラリーマンとして生きる道を選ぶのであれば、少しでも長く良い条件でいられるような競争力・体力のある企業を探しておこう。デカければ何でもいいという訳ではない。

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