構成
・学習院大学(G)
・明治大学(M)
・青山学院大学(A)
・立教大学(R)
・中央大学(C)
・法政大学(H)
レベル帯
B級中位~B級下位
概要
東京の代表的な難関私立大学で構成されており、特に学習院大学(G)を除いた5大学は「MARCH」として太古の昔から受験の世界で定着していた大学群である。「明青立法中」という別称も。
大学群としては最も有名な部類に入り、近年では社会においても広く一般に知れ渡ってきた。大手企業への就職活動では「学歴フィルター」のラインとして多くの企業で設定されていたり、婚活においても「相手の学歴は(G)MARCH以上」という希望を出す女性がいたりと、「高学歴」の基準となる大学群として認識されている。
いずれの大学も全国的に有名であるが、特に関東の受験生にとっては、輝く未来を掴み取るための「越えるべき壁」として立ち塞がることになる。
大学紹介
学習院大学(G)
定着度合いはいかがでしょう
失礼ながら「GMARCH」でちょっと浮いた「G」にあたる。「MARCH」という綺麗なワードを作り出せなかったためか、当大学群の結成当初はメンバーに入っていなかったが、無理やりくっつけた感はあるものの、時代を越えて加入に漕ぎつけた(真面目に言うと、昔は“MARCH”より少し上の位置にいたようだ)。
歴史
19世紀のちょうど真ん中頃、京都御所の東側(一応御所の中)に公家の教育機関として孝明天皇により設立されたのが始まりである。程なくして徳川幕府が倒れ、明治政府による新時代が始まった後も、華族学校として機能していくことになる。
このような経緯もあって元々は国立の学校だったのだが、戦後すぐに財団法人による経営へと移行され私立学校となり、その2年後、学制改革により旧制学習院高等科は新制大学として再スタートを切った。
似たような経緯で大学へと昇格した旧制高等学校には、当サイトにおけるC級大学の成城大学・成蹊大学・武蔵大学があるが、これらで「東京四大学」なるユニットが結成されていたようだ。学習院大学は残念ながら、女子大のように時代とともにその地位・偏差値が徐々に下降しているようだが、奇しくもランク的には「東京四大学」としてのまとまりが固まりつつある。
社会的評価・実績
皇室御用達だったということもあり、学風は上品で穏やか。実力の程は、偏差値的には当大学群最下位ではあるが法政大学のすぐ後ろに付けており、有名企業400社実就職率でも2割を越え、B級大学水準をクリアしていると言える(最近ちょっとお疲れ気味だが)。
数値上の就職実績は上記の通りだが、その一方で、肌感覚としては「GMARCH」の中でも最強クラスの就職力であるという声もある。大学のイメージが良いことや中高年世代のウケが良いことも助けになっているのか、単純な数字・一つの指標だけでは窺い知れない強みを秘めているようで、なかなか侮り難い。
Openworkが調査した卒業後の平均年収ランキングには残念ながら登場しないが(30歳時点の平均年収TOP30校が登場している)、学習院大学は金融業界への就職に強いということもあり、悪くない水準にはあると推測できる。金融と聞くと、「一般職」の存在も浮かび上がるが・・・。
山手線の目白駅に隣接しているという好立地も魅力のひとつ。
明治大学(M)
エース
「めいだい」と言えば東海では無論、名古屋大学のことを指すが、全国的にはこの明治大学のことを意味する(各県最強の進学校では別かもだが)。
時代によって大学の勢力図は変わるものだが、2022年現在では当大学群筆頭の立ち位置につけていると言って間違いはなく、マーカンシリーズでは同志社大学とトップの座を争う。
当学のルーツは法律学校であるが、看板学部は商学部とされており、政治経済学部もなかなかの難関である。このように社会科学系が得意な大学ではあるが、農学部も抱えている。当学部のある私立大学は少々珍しく、早慶上理ICUにもないので当学が私大農学部ナンバーワンとなる。
素晴らしい立地と実績
東京の私鉄、京王線には世田谷区に「明大前(ちなみに先々代の駅名はなかなかパンチがある)」という分かりやすい駅があるのだが、やはり圧巻のリバティタワー(119m)を擁する千代田区の駿河台キャンパスが有名であり、立地も良い。元々は当大学群の他大学に比べると男くさい雰囲気があったのだが、年々女子学生の比率を延ばしており、華やかさのある都心型大学というイメージの変革にも取り組んでいるようだ。
法制研究所・経理研究所・行政研究所という、なんだかものものしい機関が設置されているが、いずれも国家資格受験者のための養成所であり、それぞれ司法試験・公認会計士・国家総合職といった難関資格受験者に対するサポートも施されている。
就職状況も当大学群では例年トップであり、超難関企業内定者の出身大学でも当学の名前を見かけることがある。
今度、明治大学博物館にでも足を運んでみようかな・・・刑事部門が気になる。
青山学院大学(A)
この立地は刺激強過ぎ
渋谷と表参道のほぼ中間というムカつくような好立地。渋谷駅からだと通学には宮益坂を登らないといけないことや、距離的にもわずかに近いことから表参道駅の方が使いやすいかもしれない(JRはないけど)。
表参道のブティックでウットリとウインドウショッピングに浸るも良し、そこから原宿まで脚を伸ばしてみるも良し、渋谷へと降りるも良し、陽キャにとっては文句なしに楽しいキャンパスライフを送れることだろう(理工は相模原ね)。
どこも”政経”は強いのか?
看板学部としては伝統の英米文学が有名だが、国際政治経済学部が実力的には高く、規模の大きい企業(従業員1,000人以上)への就職率が全学部中最も高い数値を示している。帰国子女も多いとのこと。
イメージ通り、立教大学の次に女子比率が高く、ミスコンがアナウンサーへの登竜門となり多くの女子アナを生み出してきたことはあまりにも有名。また、CAも多数輩出しており就職先の上位には大手の航空会社が常連となる。ただ、それ故に新型コロナウイルスの影響が直撃し、有名企業400社実就職率ランキングでやや順位を落としてしまった感はある。今後の復活に期待だ。
とてもオシャレなイメージのある大学だがスポーツも意外と盛んであり、代表格は何といっても駅伝だろう。2015年から4連覇を達成し、2022年の年明けは圧倒的な優勝であった。次の年始も盛り上げてくれるのだろうか(22年11月の秩父宮は3位だったが・・・)。
立教大学(R)
大学群“中堅”?いやいやまだまだ“上位”だ
かつては入試難易度で当大学群では頭一つ抜けていた時期もあったのだが、現在は明治大学・青山学院大学に続いて第3位という認識が多くみられる。
ここもミッション系の大学であり当大学群では最も女子比率が高いのだが、その立地は意外なものであり、埼玉県の植民地、豊島区池袋しかも駅西口側である。他には埼玉県新座市(東京隣接)にも3学部(1学部新設予定)を擁するキャンパスがある。
OBには有田哲平さん、みのもんたさん、古舘伊知郎さん、故:安部元首相の奥さん(学びなおしだけど)などなど、これまた大学イメージからはあまり想像がつかないような結構キャラの濃い有名人も多数。
都内では古くから名門として根付いてきた
創立は1874年ということで、江戸時代を期限とする学習院大学は別枠として、青山学院大学と並び「MARCH」の中では最も古い部類の大学だ。
こういうイメージからして、野球のイメージもあまりないことだろうが歴史も長いこともあり、これでも「東京六大学」の一員だ。ただ、通算勝率は5割に届いていないこともあって、流石に東大には圧勝しているものの全体では5位となっている。
中央大学(C)
各方面で活躍
元はイギリス法の法律学校として設立された。
やはり、法学部・司法試験のイメージが強いが、それと並ぶ超難関資格の一つである公認会計士の合格実績も高い(最近は明治におされているようだが)。
社会科学系の学部が強いからか公務員試験はもちろん民間企業方面でも活躍がみられ、有名企業400社実就職率ランキング、卒業生の平均年収ともにまずまずの成績である。特に年収の方はオープンワークによる20年度、22年度調査ではいずれもマーカン代表の1つとして国内TOP30大学によるレースへの参戦を果たしている(後述)。
文系学部が有名なのは当然なのだが、私立大学が苦手とする理系でも評判は悪くなく「中央理工」は当大学群の中でも明治の次の立ち位置に来る存在である。
また、文系学部の学費が4年間で400万円前半と、当大学群の中では最も安かったりもする。
中央大学法学部
“GMARCH”語るのにここを外す訳にはいかない
青山学院大学文学部・立教大学経営学部・学習院大学文学部など、各大学には看板学部が存在するが、中でも群を抜きすぎているのが、やはり中央大学法学部である。
伝統的に数多くの学生を司法試験合格に導き、最高裁判所判事など数多くの著名人を輩出する等、日本の法曹界において圧倒的な存在感を発揮してきた。令和2年度の司法試験でも中央大学の法科大学院が、東大・慶應・京大に続いて第4位の合格者数を出している。
東大の赤門に対し、中央大学は白門と呼ばれ(今もその門は残されているようだ)、かつては司法試験の双頭による紅白戦として熱戦を繰り広げていたとか。
いまだ存在感バツグン
学部の偏差値については、現在では「早慶上」には遅れを取っているが、それ故にコスパが良いと言える(ただ、法科大学院の難易度はもっと高いそうだが)。また、2023年には法学部が45年ぶりに都心回帰し文京区の新キャンパスに移転予定。これにより更なる人気・偏差値の上昇を狙う(でも置いていかれた学部はどうなるんだろ・・・)。
ちなみに中央大学は上場企業における役員数が「GMARCH」でトップであり、これは中央大学法学部が法曹界のみならず民間企業でも高く評価されていることが寄与している(商学部や経済学部も強いけど)。また、弁護士もよく企業の社外役員になっていることも関係しているのだろうか。
先導的法科大学院懇談会:LL7(ロースクールの神7らしい。構成大学は京都大学・慶應義塾大学・神戸大学・中央大学・東京大学・一橋大学・早稲田大学)の一角としても名を連ねており、法学部・・・というより法科大学院としては、S級並みの格式を持つと言って差し支えないだろう。
法政大学(H)
全学部、“GMARCH”で一番簡単な訳ではないが・・・
学部より偏差値的な序列は差があるものの、関東の高学歴の入口とはまさにこの大学のことであり、「関関同立」でいう関西大学的位置づけとされている。学歴フィルターの設定のされ方も企業によりバラバラではあるが、この点であれこれ不安を抱えたくなければ関東ではこの大学には何としても入っておきたいところ。
中央大学がイギリス法の学校が前身だったのに対し、当学はフランス法を学ぶ東京法学校が前身となった。19世紀末には、法学部性にとってはお馴染み(?)である日本近代法の父、ボワソナード博士が教頭として就任している。ただ、たまに誤解されるのだが、あくまで幹部教員としてであり、彼は法政大学の創設者ではない。
キャンパスは多摩、小金井、そしてメインは市ヶ谷という好立地。市ヶ谷キャンパスでは120mを上回る超高層建築物「ボアソナード・タワー」がシンボルとして聳え立つ(明治に勝った!!)。
就職実績
就職先一位はドコモグループということで、ここはなかなかの難関だが、大小さまざまなグループ会社が含まれているということだろうか・・・? (NTTコミュニケーションズはドコモグループになったみたいだけど)。
ただ、当大学群の中では大手企業就職実績は例年最下位であることは事実であり、さらに新型コロナウイルスによる不景気の影響によるダメージを特に大きく受けているようにも見受けられる。
群内格差
格差のない大学群など滅多になく、長年定着してきた当大学群も例に漏れず格差がある。
令和の初めにおいての筆頭大学は、入試難易度・人気・就職実績等を総合すると明治大学と言われる。当然、時代による変化はあり、筆者の受験生時代は立教大学が僅差ながら一番難易度が高かったと記憶している(就職等は忘れた)。
ざくっと分類すると、
「GMARCH」上位:明治大学・青山学院大学・立教大学
「GMARCH」下位:中央大学・法政大学・学習院大学
に二分される。明治・青学・立教自身も3校組んで「GMARCH」脱却を狙っていそうなフシはある(笑)。
また、立教・中央をあわせて「中位」とする意見も見られる。確かに中央と法政・学習院の間でも一定程度の差があるので、中央大学が「下位」として括られるのは少々気の毒な印象はある。
社会的評価・実績
※上場企業役員数(2018年)
全体順位 | 大学 | 役員数 |
5位 | 中央大学 | 888人 |
7位 | 明治大学 | 584人 |
13位 | 法政大学 | 332人 |
19位 | 立教大学 | 233人 |
20位 | 青山学院大学 | 231人 |
※有名企業400社就職率(2020年卒)
全体順位 | 大学 | 就職率 |
20位 | 青山学院大学 | 29.1% |
22位 | 明治大学 | 28.4% |
32位 | 立教大学 | 23.8% |
37位 | 中央大学 | 21.4% |
38位 | 法政大学 | 21.1% |
39位 | 学習院大学 | 21.0% |
※大学別平均年収(20年度)
大学 | 全体順位 | ||||
25歳時 | 30歳時 | 35歳時 | 40歳時 | 45歳時 | |
中央大学 | 21位 | 25位 | 26位 | 27位 | 26位 |
明治大学 | 22位 | 28位 | 29位 | 28位 | 28位 |
青山学院大学 | 24位 | 30位 | 30位 | 29位 | 29位 |
都内の有名私立大学ということもあり大手企業への就職には強く、いずれの大学も有名企業400社実就職率は2割を上回る。中でも明治大学と青山学院大学は3割にも迫るほどの好成績。
ただ、平均年収ランキングを見ると、全大学TOP30(30歳時点)に登場したのは半分の3校(明治大学・青山学院大学・中央大学)のみ。しかもその3校ですら、ランキング上ではいずれの世代でも下位(というかほぼ最下位層)に位置している。
大手企業への就職率が高い割には平均年収は少々物足りなく、大手企業での出世力がイマイチなのか、一般職・エリア限定総合職といったソルジャー要員が多い可能性等が原因として考えられる。
上記の通り、上場企業での役員数がトップクラスに多く、強い学閥があるはずなのに・・・と腑に落ちないところもあるが、「上場企業」といってもピンキリであり、我が国の上場企業として3,500社をはるかに越える数が存在する。
よく指標として使われる有名企業400社とは数字的には大きな乖離があり(有名企業や大手企業はその400社に限らないとはいえ)、「一部上場」の中には中堅企業も多数含まれているので、誰でも知っているような「大手企業」での出世力は、当指標だけでは正確には見極められないのかもしれない。
ライバル大学群
関関同立
西の「GMARCH」。長らく東西で対の関係にあり、こちらも超有名大学群。偏差値的には「GMARCH」の方がやや優勢にあるが、社会的評価では大きな差はなく、悪い言い方をすれば、お互い同じ「ギリギリ高学歴組」である。
唯一のB級中位大学である同志社大学は、大手企業への就職率・全世代における平均年収で「GMARCH」すべてを上回っており、同ランクにいる「GMARCH」上位の明治大学・立教大学・青山学院大学にとってさえも、かなり手強い相手になるだろう。
金岡千広
大手企業への就職実績では「GMARCH」の方が大きく上回っているが、それに公務員試験の実績を加えると、逆に分が悪くなってしまうかも。公務員だったら何でも良いという訳ではないが。
特に「GMARCH」と千葉大学だと、同じエリアということもあり非常に迷うかもしれない。文系・理系、民間・公務員、どのような志向かにもよるのだが、「GMARCH」下位との比較であれば、千葉大学の方が優勢かと考えるが、「GMARCH」上位と比べると・・・もう行きたいほうに行けばいいと思う(思考停止)。
電農名繊
同ランク帯にはあるが、理系単科大学という特徴がある。「電農名繊」と「GMARCH」を比較する機会があるのは理系の人だと思うが、この場合は特別なこだわりがない限りは、まず「電農名繊」が優先されるのではないだろうか。
「GMARCH」に入れたら
学歴が重要とされる大手企業への就活では、よほどの超一流人気企業や大恐慌の中でない限りは、大学名だけで不合格とされる心配はまずないだろう。ただ、「日経225」や「JPX日系400」に入るクラスの企業では、A級大学出身者もゴロゴロおり、「GMARCH」出身者ももちろん一定数いるが、学歴的には下に見られる立場となってしまう。
しかし、B級大学でありながら厳しい競争を勝ち抜いてきているので、「GMARCH」や「関関同立」出身者の方がむしろ入社後に活躍するケースが多く見られる。そのような人達は、大学時代に学業・部活(サークル)・アルバイトなど何にせよ壁にぶつかってきた経験をしてきている。大学時代は自分の好きなことに没頭しがちだが「受験で壁を越えさえすればあとはパラダイスだ」と思っていると、後々ツケが回ってくることになる。
「GMARCH」は日本の学歴社会の中では「高学歴」と言っていい存在だが(私見)、大手企業で役員にまで上り詰める者もいれば、派遣社員となってしまう者も珍しくはない(意外だが、現に結構いる)。
「高学歴」とは勝負の土俵に上るための切符に過ぎず(その切符にもちょっとしたグレードがあったりするが)、本当の勝敗が見えるのは大学合格からはまだ先の話である。