国公立“理系”といふ世界(就職無双は本当か?)

コラム

理系の就職活動

文理の違い

大学生の就職活動は、文系と理系では大きくプロセスが異なっている。

文系の学生はその殆ど(てか全部と言ってしまってもいい)が「自由応募」であり、現代においては各企業のウェブサイトからの直接応募、もしくは就職支援企業のポータルサイトを経由しての(プレ)エントリーからスタートする。また、上位大学の学生だとリクルーターからの接触により始まることも多い。

そこから学歴フィルターにかけられ、SPI等の筆記試験でふるいにかけられ、エントリーシートの記載内容を審査され、ようやく面接にこぎつける。面接にも色んな形式があり、何度も個人面接・集団面接・グループワーク・グループディスカッション等を重ね、役員もしくは人事部長等による最終面接を突破して、やっとこ内定ゲットという流れだ。さらには、エントリー以前にインターン参加が必須の企業も外資系によくみられる(もう虫の息)

上記のパターンはオーソドックスな一例であり、試験形式や順番も様々ではあるが、文系就職の場合はいくつもの関門を突破する必要がある。

理系は自由応募と推薦応募

それに対して理系の就職活動では、「自由応募」としての進み方も勿論あるが、大学を通しての「推薦応募(学校推薦)」という形式も存在することが特徴的である。

流れを簡単に言うと、企業から「オタクの大学から各学科(専攻)で何名欲しい」という募集が大学(学科)に来て、それをもとに学生は応募企業を決めて選考へと進む。応募企業は成績が高い順に決めていける場合が多い。

選考では推薦書やレポートなどの審査に加え、筆記試験・面接等はあるものの、その回数は「自由応募」に比べるとはるかに少なく(大抵1回で終わる)、合格率は大学・企業によって幅があるのだが、7~9割がたは通ってしまうとのこと。

「推薦」であるが故、内定が出ると原則蹴ることは出来ない(大学・教授の顔を潰してしまう)というデメリットこそあるが、文系の学生からは羨ましがられること間違いなしの選考フローである。

理系の推薦応募は減少傾向だが・・・

とはいえ、理系の推薦応募は近年その比率を縮小させており、現にトヨタでも22年卒から推薦応募は廃止されると話題にもなり、この流れは止め難いものであると言わざるを得ない。

そのような状況下においても、依然として推薦応募の比率が高いのが 「機械」(53%)、「電気・電子」(35%)であり(HR総研による調査結果による)、確かに機械工学電気電子工学の2分野は工学部・・・いやいや、理系の中でも断トツに就職が良い二大巨頭「機電系」としてよく知られている。

その実績

学歴フィルター?何それ?

C級クラスD級クラスに位置する国公立大学は、地理的要因等から就職面で苦戦している印象があるものの、機械工学と電気電子工学の就職力は圧倒的であり、「学歴フィルター」も「地理的不利」も関係のない世界である。

C級大学・D級大学も滅茶苦茶強い

具体的な大学名や企業名は出せないが、現にC級クラスの国立大学機械工学系学科の就職事情はコロナ禍においても活況であり、

日経225・JPX日経400クラスの企業から一斉に押し寄せてくる推薦枠によって学科の定員が埋め尽くしてしまう・・・それどころか、溢れてしまうのでは!?

と思えてしまう程、名だたる企業からクレクレと人材を欲しがられている(それどころかTOPIXCore30、Large70に入る企業からも来る)。

文系就職だと、東大をはじめとしたS級大学ですら内定を勝ち取るにはそこそこの苦労を強いられる程の日系大手企業に、地方国公立大学の機械と電気電子の学生は労せず入れてしまう。

再度述べるが、これは当サイトにおけるC級クラスの地方国立大学の話であり、文系をはじめとした「自由応募」での就活とは全く世界が異なっている。文系からすれば、もはや信じられないような、自分達がやっていることがバカバカしく思える程の超売手市場と言える。

D級クラスになると、流石に学生数に比して溢れるほどの求人枠が押し寄せるという大学は少なくなるかもしれないが、より上位クラスの自由応募メインの学部学科に比べても大手企業へ就職できるチャンスは格段に違う。

企業側から見ると

企業や業界によるところもあるのだが、大手企業の技術系(理系)採用では学科ごとに推薦枠を定めているが、工学部・理学部においては様々な学科がある中で、機械工学と電気電子工学はやはり突出して採用枠が多く、桁が一つ違う。

そして、地方国公立大学に対しても日本全国満遍なく採用枠を用意して求人票を送付しており、先述のようにC級・D級の地方国公立大学の機械工学・電気電子工学の学生が、就活で全然苦労しないという話も頷ける。

しかしその中でも、全学科合わせた求人数でみると、やはり旧帝国大学・東京工業大学・神戸大学といった、S級大学・A級大学の採用枠はこれまた他の大学に比べると桁が一つ違う。上位の大学になる程、学生数も多く、様々な学科を網羅しているところはあるが、やはり理系は旧帝国大学の天下だと言えるだろう。また、当然ながら企業の事業所・工場のある地域に所在する大学は、枠数が優遇されている。

ちなみに私立大学に対する推薦枠は残念ながら圧倒的に少ない。それどころか、理系で相当著名な大学にしか推薦枠そのものが用意されていないということもある。早慶にもなると、地方国公立大学よりは枠の絶対数そのものは多いが、学生数に対する割合を考えると・・・やはり国公立大学よりは厳しい。

という訳で、機電系等の学科は就職にめちゃくちゃ強いのだが、ランクの高い大学であるほど枠数も多く、国立>公立>>私立の順で強さも変わってくる。

なぜここまで強いのか

一言で言うと、「つぶしが利くうえ、人手が足りない」からである。

工学部

機電系

機械工学科は自動車メーカーが鉄板の就職先ではあるが、機械に関する知識・技術は他の業種においても工作機械・検査機械・食品製造機械など様々な場面で重宝され、何かを作ろうとするときは多かれ少なかれメカの知見が必要となる。

電気工学については電力会社・発電所といった職場が就職先になるというイメージは強く、それはその通りではあるが、一方で鉄道・家電・通信などなど、ありとあらゆるフィールドで電気は根底となるインフラとして不可欠であるため、どこでも引く手あまたとなる。電子工学も自動車・家電といった製造業への就職で力を発揮する。

他にも強い学科はある

通信工学はそのまま通信業界へと進む学生が多く、情報工学もIT業界は勿論のこと、多くの大手企業では子会社に専用のシステム会社を構えているため、幅広い業界への就職が可能だ(見てると結構大変そうだけど・・・)

さらには、東日本大震災による復興需要・東京五輪(2020)特需・東京五輪(1964)時に整備された建物・インフラ老朽化の影響などにより、建築工学・土木工学の需要も依然として高い水準である。

理学部

理学部で最も就職が良いとされるのは化学科であり、その名の通り化学メーカへの就職に強く(ホワイト企業多し)、他にも医療系・化粧品業界への就職が多くみられる。

他に、意外と就職に強いのが数学科であり、IT業界からの需要(プログラミング、アルゴリズム)が強いほか、数字の強さを買われてか金融業界とも強い繋がりがある。物理学科は機械メーカーへの就職が得意だが、細かい専攻によるところがある。

理系離れ

四工大」のページでも記載したが、わが国ではバブル以降、「3K」のイメージもあってか若者の理系離れが現代においても歯止めが利かず、多くの業界において技術者が足りない状況が続いている。

実はいずれの先進国でも同様の現象が見られ、技術者という存在は日本国内のみならず、世界各国から喉から手が出るほど欲しがられる宝であると言えよう。

工学部・理学部実用学科以外は

“理系”と一口に言っても

機械工学・電気工学をはじめとして工学部・理学部には就職に極めて強い学科もあるが、逆にこれら以外の分野では苦戦を強いられるという側面もある。「理系」と言えば就職に強いイメージこそあるが、全てが順風満帆という訳ではなく、学科による差が非常に激しいという実情も見えてくる。

S級大学でさえも、就職に強い学科・そうでない学科では就職実績に大差があり、どの分野を専攻するかという選択は、学歴ランク以上の影響があるのかもしれない。

文系はなおさら

そして地方国公立大学における文系学部の現状は語るまでもない。文系の場合はまず「大学名」が第一であり、「学歴フィルター」「大学別の採用枠」に直接的に関係してくる。C級クラスであれば学歴フィルターの方はさほどの心配ないが・・・詳細は以下コラムにて。

とにかく就職最強学科を目指すべき?

実力と適性はあるか?

これ程までの超売手市場が存在することを知ってしまうと、「S級」だの「Fラン」だの「どっちが上か!?」だのといった学歴論争など、クソしょーもない子供のケンカにしか見えないだろう(笑)。

「学歴フィルター」や「OB数・役員数」など、つまらない心配をしなくていいように「ハナから国公立大学の中でも就職に強い理系学科を目指しとけって考えたくもなるだろう。とはいえ、人手が全く足りていない超売手な就職最強学科であるなら、「みーんな機械工学や電気電子工学を志望すれば良いんだ」・・・などと、事はそう単純にはいかない。

当たり前だが、国公立大学の理系はまず受験が大変だ。文系より勉強量は多くなり、競争相手のレベルは高く、避けては通れない「数学」や「理科」は人を選ぶ科目である。人には向き不向きがあるので、その適性がない者が安易にその世界へ飛び込んでしまえば、人生を棒に振るような事態も招きかねない。物理も化学も赤点だったワシには無理(笑)。 それ故、面倒見の良い高校では、文系・理系の選択については担当教諭が極めて親身かつ慎重に寄り添って考えてくれる(“お任せ”は勿論アカンけど)。

修練の日々は続く

そして、大学へ入学した後も理系学生は勉学が大変であり、授業はもちろんのこと、実習にレポートに明け暮れる毎日を送る。それは「ぬるま湯」な文系学部とはワケが違い(最近は厳しいところも増えているらしいが)、受験生の時に夢見たパラダイスなキャンパスライフなど夢想でしかなかったと分かる・・・。
※ と言っても、サークル皆勤賞だったりバイト頑張ってた理系学生もいたりと学部・学科・研究室によるところはあるので、ブラックなところに当たらないようによく調べておきましょう

特に電気工学は内容も難解と言われ、学生の3割が留年してしまうというスパルタな大学も珍しくはない。受験で理系科目を勉強している段階で躓いている様では、大学ではとても通用しないだろう。←赤点野郎が何をほざくか(笑)。そもそも理系就活で推薦応募が主流だったのは、「勉学が忙しい」というのも理由の一つとしてあったくらいだ。

技術者が不足している状況下で述べるのは葛藤を禁じ得ないのだが、貴方は、辛く苦しい受験の先にある、更なるシビアな世界へと飛び込む勇気はあるだろうか?それがないならば、クソしょーもない学歴ピラミッドの世界で足掻くのが、なんの取り柄もない人間にとっての王道なのである。どの分野にも言えることかもしれないが、そこまで難解な学問に励むのであれば「適性の有無」は勿論ながら、その分野のことが多かれ少なかれ「好き」でないと、なかなか厳しいものがありそうだ。。。

技術立国のサムライたち

就職無双な状況だからと言って「ラクして大手企業へ行ける」というような誤解は禁物であり、血の滲む努力と、それによって育んできた英知を持ち合わせるからこそ、国を引っ張る一流企業にふさわしい者として推薦を享受することが出来るのである。

険しい道を乗り越えてきた結果として、彼らは社会において大切に扱われるのであり、「コスパ良いからオススメだよ~」などという単純かつお気楽な言葉だけで表現出来る話ではない。

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