今どき“学歴”なんてそんなに大事なのか?

今どき学歴なんてそんなに大事なのか? コラム

※従来トップページにあった記載を一部別記事として分け、少し追記をしたコラムになります

1. ふたつの“学歴”

① 学

「学位」と言うと、大学などの高等教育機関において学業・研究を修めた者に授与される称号であり、「博士」「修士」「学士」「短期大学士」などが挙げられる。各国で学位制度の違いがあり完全に統一されている訳ではないが、学位区分自体は共通するところも多い。海外においては、専門性が認められるためには「修士以上」であることを要求される国もある。

日本においては、広義には大学によって授与される学位以外にも高専卒・専門学校卒・高校卒なども含めて「学歴」として区分されることが多く、当サイトでも「その他」として一応ランク分け対象としている。そのような序列の世界では、大卒(学士)以上であることが、総合職としての就職・生涯収入の面で大きな壁であると言われる。

ただし、理系の就職活動においては修士以上であることを前提に募集する企業(特にメーカー)も少なくはなく、現に国立大学の理系学生はその多くが大学院前期課程へと進学する。したがって、状況によっては「修士」と「学士」の間にも壁があり、大学院を卒業した者こそが真の高学歴であるという認識もある。

② 学

こちらは、入学・卒業が「どの大学か」という視点となる。大学受験・就職試験において各大学がランク付けされたり、「どっちが上か?」「学歴フィルターはどこからかかる?」「どこからが高学歴か?」などの論争・議論における「学歴」とは、こちらの意味で使われている。

無論、当サイトにおける「学歴」も主に、この② 学校歴のことを示している(上のコラムでは別だが)。こうしてまとめてみると、ある程度国際的に通用する①学位歴に比べれば随分と低次元なものに見え、当サイトの名称どおり、日本でしか通用しない代物である。

以後の記述における「学歴」についても、②学校歴を意味するものとして考えていただければ幸いである。

2.“学歴”は何のためにある?

入口を切り開く武器だが・・・

生涯ついて回るものではある

散々な言い方をしたが、なんだかんだ言って「学歴」が役に立つ場面は現代においても依然として少なくない。例えば、就職・出世・恋愛・結婚・交友の場などで話題に上がることがある。

「学歴」は自分の信用を一発で勝ち取れるツールとして有用なので、そのような場面で自分のバックグラウンドを活かすも殺すも自分次第である(アピールし過ぎると当然、変な人だと思われる。そういう話題は然るべき時に自然と出てくるので、自分から言うものではない)。

決定打としての威力はない

かと言って・・・ほとんどの場面において「学歴」が各場面における「決め手」「必要条件」になることはあまり考えられない。例えば、出世では「仕事が出来る」「上司に気に入られる」「関係者から信頼を得ている」などの要素が大きく関係し、恋愛では「容姿・内面の好みや、趣味の一致」、結婚では「価値観の一致、勤務先・年収・安定性、年齢」、交友の場では「コミュ力、相手との共通点」などが「学歴」なんかより遥かに重要である。

つまりは、人生の各場面において、高い学歴があることは「助け」になることは間違いないのだが・・・

学歴がなくたってどーとでもなるわ(笑)

・・・程度のものでしかない。多くの局面において成功をおさめるということは、学歴があれば有利に働くこともあるが、学歴が必須になるわけでも決め手になる訳でもないのである。

“必須”とされる場面がある

ところが、それにも例外がある。

人生の一大イベント

日本の大手民間企業への就職活動においては、あの悪名高い「学歴フィルター」をはじめ、各一流大学ごとに採用枠数(採用目標数)が定められる企業もあり、高学歴者が優遇され、低学歴者が排除されやすい制度が息づいている。こうなると話は大きく変わり、学歴が大手企業就職力とは深い結びつきあると見出せることになり「学歴がなくたってどーとでも」ならなくなってしまう。

我が国は、一旦レールから外れると二度と戻れないイメージがあるが、実際はそんなことはなく、あらゆる場面で逆転の可能性が残されているという面では「とってもいい国」である(斜陽国家だが)。現に、クソ中学校に行っても良い高校には行ける、クソ高校に行っても良い大学に行くことは制度上は可能だ。しかし、ランクの低い大学から総合職としてホワイト大手企業に就職することは・・・不可能とまでは言わないが制度上、極めて不利な立場に立たされるというのが現実なのだ。

新卒就職が全てではないとは言え

「人生逆転は可能」とは言ったものの、実際は口で言うほど簡単ではなく、年を重ねるほど難度は高くなってくる。就職活動に失敗したとしても、中堅以下⇒大手への転職は可能だが、競合者から抜きんでる努力と、マッチした求人が現れる巡り合わせも必要となり、決して平たんな道のりではない。そして、転職にはファーストキャリアも大事になってくる。

なので、特になんの芸も持たない「普通の人間」が安定的で豊かな生活を送りたければ、新卒就活と、それに強固に繋がる大学受験、人生においてこの2つの局面に対しては特に気合を入れて臨まなければならない。

ちなみに、大学に残って研究者として生きていく上でも「学歴」は無視できないそうだが、それについては完全なる門外漢なので、別サイトに譲る。

出口評価は大手企業就職力を重視

学歴必須なのは就職のときだけ

という訳で、当サイトは特に大手企業への就職活動学歴を活かすことに、やたらこだわっている。

「そういう切り口でしか判断出来ないのか」と言われても仕方がないくらいだが、こだわる理由は単純であり、大手企業への就職活動という局面でこそ、学歴は最大限にその威力を発揮するからである。そのため、入試難易度と並んで大手への就職力は、当サイトにおいては最も重要視している。

※ ちなみに婚活にも結婚相談所の入会審査や婚活パーティー参加条件として「学歴フィルター」があったりするのだが、あくまで少数事例である。

大多数は民間就職へと進む

卒業が確定し、働くことが決まった学生の約80%民間企業・団体へと就職する。日本は公務員比率が低く、約10%前後。公務員試験は基本的に学歴ランクに関係なく平等な勝負となる。

つまり、進路としては圧倒的に民間企業へ進む人の方が多く(国公立と私立でまた比率は変わったりするが)、さらには公務員試験では「学歴」を活かす機会がまず訪れない。

公務員試験の実績については当サイトにおける学歴ランクの指標として、学生の学力・実力をはかるモノサシの一つとしては有効と考えてはいるが、大学に在席したことによる恩恵という面で考えると、大手企業就職実績よりは重要視をしていない。

3. なぜ“大手”にこだわる?

中堅以下だと・・・

民間企業で働く上では、「大手企業」と「中堅以下」では得られる生涯年収や福利厚生を含めた待遇が大きく違ってくる。福利厚生分の恩恵も含めれば30歳を過ぎるころにはお互いの差はハッキリと開き始め、200~300万円もの年収差が現れることも珍しくない。さらに年齢を重ねて管理職にもなれば、差は500万円だって越えてしまうほど給与水準には開きがある。

超一流企業のエリートビジネスマンや、起業して成功した者から見れば、その程度の差は五十歩百歩のゴミクズにしか見えないだろうが、庶民からすれば年間で数百万円の差により、ありとあらゆる我慢から解放される。沈みゆく現代日本は「一億総ボンビー」へと向かっているが、金持ちにはなれないにしろ、ボンビーからの脱出ならばサラリーマンでもなんとか可能である。

大手には多くの応募者が殺到するため、学歴フィルターで高学歴以外の学生は勝負の土俵にすら上れないのは有名な話。 逆に言えば、どれだけ大手企業への就職実績があるかで、それぞれの大学の学歴力が見えてくる(ただし、総合職以外のコースでの就職で数値が上がっているケースもあるが)。

そもそも“大手企業”とは??

会社法で「大会社」という言葉が定義されていたり、中小企業基本法においても業態によって企業規模の基準が定められているが、これらは該当する会社数があまりに多くなりすぎる。中小企業基本法における「中小企業以外」だと、割合的には0.3%しかないが、会社数でみると1万社を余裕で上回る。

これではハードルが低すぎるが、「大手企業」というのは実は確たる定義や基準が存在しないので、このサイト内でのイメージをお伝えすると、日経225・JPX日経400あたりに入るレベルの企業と思ってもらえばいい。

ちなみに、分かりやすくポピュラーである大学通信さん集計の「有名企業400社実就職率ランキング」を指標としてよく使っているが、この「400社」とはJPX日経400のことではないらしく、「日経平均株価指数の採用銘柄や会社規模、知名度、大学生の人気企業ランキングなどを参考に選定」という記載はあるものの、具体的な会社名は明かされておらず、不明瞭な部分が残るのは事実である(年度によっても変わるのだろうか)。また、以下の点でも注意が必要である。

※総合職と一般職の区別がない
※教育学部・医療系学部を抱える大学は不利に働く

ともあれ、完璧な指標などなかなか存在せず、就職力をはかる目安としては十分に使えるだろう。

また、日経225・JPX日経400はあくまで投資家向けの括りなので、首をかしげたくなる企業もあるかもしれない。それ以外の基準で言うと、業界内でのシェアがトップクラスであり、売上高としては連結5,000億円あたりが最低ライン(出来れば1兆円と言いたいが・・・)くらいの規模感である。もちろん、業界の規模感や利益率などによっては例外も多々あるが、「東証プライム」程度では、まだまだ「大手企業」と呼ぶには物足りない(2,000社近くあるし、売上数百億程度の企業も沢山ある)。

大手企業に入社する意義について、詳細は以下のコラムにて。

大手就活での各ランクの立ち位置

目安は以下の通り。会社・大学・人によってもちろん例外はあり。

S級大学:基本的に学歴が足枷になることはなく、超一流企業(外資・コンサルなど)への就活も不利なく進められる
A級大学
日系大手企業への就活を学歴的に不利なく進められる
B級大学
日系大手企業学歴フィルターはほぼ通過出来る(が、その後選考においてA級以上の学生に比べると不利な局面がある)
C級大学
:私立大学は学歴フィルター当落線上であり人気企業では通過出来ないこともある。地方国公立大学ならば学歴フィルターの心配こそ少ないが、地理的に不利・採用枠も小さいなどで苦労を強いられる。
D級大学
学歴フィルターに行く手を阻まれる可能性が高くなるが、業界・景気によっては通過可能性あり(国公立についてはC級同様、地理面などで厳しくなる)
E級大学
好景気であれば大手ワンチャンあり
F級大学何かの間違い・運命のイタズラで入学してしまったなど隠れ超優秀人材でないと大手は厳しい(黒くない企業の話)

ただし例外的に、国公立大学の工学部・理学部における就職に強い学科は、C級・D級でも学歴フィルターなど関係ない。むしろビビる程就職強過ぎ。詳しくはコチラ

大手企業に行きたいなら、ハナから工学部入って頑張っとけって話だが・・・

入社後も学歴は無関係ではない

また、「就職した後は学歴など一切関係ない」とよく言われるが、これは本当にそうだろうか?確かに上に述べた通り、仕事で評価されるのに学歴はさほど重要ではないのだが、「100%関係ない」かと言われると、流石にそうでもない。

大手企業では同じ大学の者同士が群れて「学閥」を形成しがちである。出世はぶっちゃけ「如何に上司に気に入られるか」が今も昔も一番大事なのだが、上に上がれば上がるほど、どの派閥に属するかも一応関係してくるのであり、その派閥の一つが「学閥」である。

したがって、学歴は就活時にこそ最も大事であるのは間違いないが、意外とそこで終わりではなく、社会人になった後も生涯付きまとってくるものである。あと、信じられないかもしれないが、偏差値の高い大学出身者が昇格・昇進で制度上優遇されるという大手企業が、実は現代においても実在する(相当レアなので気にしなくていいけど)。

この要素については、当サイトのランク分けにおいては、卒業生の平均年収や、役員の人数も指標として含めて考えている。

4. なぜ今どき“学歴”??

もっと重要なものがあるのでは?

大手企業へ入ることに学歴が重要なのは分かるが、学歴でフィルタリングしてしまうのはそもそも何故なのか?仕事をする上では、大手企業が大好きな「コミュ力」「チームワーク」の方が大事なのではないだろうか?今時「学歴」で人を評価なんかしていたら、会社が傾くのではないだろうか?このような疑問ももっともである。

しかしながら、「学歴」というものは人生の序盤戦における努力・成果を表現している。つまり、社会に出る以前の二十数年間でどれだけ勉学に励んで成果を残してきたかを、極めて簡潔かつ客観的に証明してくれるのが学歴である(最後の4年間はあまり頑張っていないかもしれないが 笑)

仕事の基礎力

コミュニケーション能力はまた別として、仕事における事務処理能力・読む力・書く力・忍耐力・集中力・計画力・物事に継続的に取り組む力などと、学校のお勉強・受験における学力とは相関が見られるということは、多くの先人達の経験から語られるところである。

厳密にいうと学力 = 学歴ランクとも限らないのだが、ホワイトカラーとしての能力と関係し、なおかつ人生の二十数年間でどれだけ頑張ってきたかを証明する学歴というものを、採用活動において無視する方がオカシイ。

採用活動では致し方ない面も

人手足りないから人は欲しいが・・・

まして、民間企業の採用活動においては、限られたリソースの中で効率よく選抜を進めるのは当然のことであり、学歴はそのためのツールとして使われるということである。民間企業には「経済活動の自由」の一環として「採用の自由」が認められており、どのように採用するかは各企業の勝手である。そして、公正を期すあまり、企業ごとに公務員試験みたいなハードな筆記試験を課されると、学生も企業もお互い疲弊してしまう。

人事部という部署の仕事は新卒採用だけではない。中途採用であったり、昇格・昇進の審査、社員研修、労務管理、安全衛生、福利厚生の企画・運営、ハラスメント対応、労働組合とのやり取りなど、「人」に関する仕事は多岐にわたる。彼らは限られた人数で、普段から目まぐるしくクソ忙しく働いているのであり、応募者全員を面接で対面出来ないのは勿論のこと、履歴書やエントリーシートを1枚1枚丁寧に読んでいる暇なんてあるワケがない。

・・・人を見る人がいない(泣)

人事部だけでは対応しきれないので、リクルーターなど他の部署の社員にも採用活動のヘルプをお願いすることになるのだが、彼らにももちろん本業があるため、協力するにも限界がすぐに訪れる。

リクルーターも、自分の出身大学に在籍する学生の相手で手一杯であり(他の大学の学生にアプローチすることもなくはないが)、そもそも大手企業の社員にはランクの高い大学出身者が元々多いとなると、高学歴者がリクルーターのターゲットになり有利になりやすいという構図は、そう簡単には変わらない。

「学歴フィルターは合理的」などというのは当たり前であり、「今どき学歴なんかオワコン」とも言われるが、実際はこの令和の時代においても堂々の現役なのである。

5. その他

マウントとり、カテゴリ分け

学歴・資格・役職・年収など人のステータスに関わる話は、どこかタブー感があったり、「いい大人になって、そんなことに拘っているのは、みっともない」と口では皆言うものだが、結局のところマウント取りは人の自然な欲求であり、どいつも本当は人の学歴だの年収だのが気になってしょうがないのだ(笑)。

これらは社会の中での自分の立ち位置をはかる指標として分かりやすいので当然といえば当然である。立ち位置が分かったことをキッカケに転職などに動き、人生が良い方向に進むなら、学歴・年収を気にすることも結果的には意義の見出だせることだろう(かといって、マウント合戦を推奨したい訳ではありません)。

そして、階層などによって人のことをカテゴライズしてしまうのも、人間・組織としてはいたって自然なことであり人を評価する側は、人を階層ごとに区分けして見たり扱ったりしているのが実のところである(入社時も、給与・賞与査定時も、昇格・昇進時も)。

社畜か自由人か

自由人なら学歴は基本的に不要だが・・・

起業・投資・副業等も盛んになってきたこの時代で、「オワコンな大手企業にこだわるのは古すぎる」という感覚もあるだろうが、大手企業の給与水準を越える稼ぎを自分自身で生み出し、安定的に維持・向上させることは、半端な努力と覚悟では難しい。

サラリーマンもピンキリだが、フリーランスの場合は格差がより激しく、稼げる人は天文学的な数値を叩き出すが、中央値では貧困層スレスレのところまで来ている(ただし、フリーランスは経費処理の関係で可処分所得はサラリーマンより多くなる。また、統計には副業でやっている人も含まれている可能性がある)。

また、起業するにしても如何にそれを売り込んでいけるだろうか・・・?ゼロの状態から販路を築き上げるのは並大抵の困難ではなく、ツテが必要である。それもないなら、信頼性のあるバックグラウンドがないと誰も相手にしてくれない。そんな時に可能性を数%引き上げてくれるツールが実は「学歴」だったりする。人生の色んな局面において、入口を切り開いてくれるのがコイツだ(そこから先は実力が基本)。

どちらが難易度高いか

ちなみに年収1,000万円以上のレベルでいうと、サラリーマンもフリーランスも同じくらいの数字で4%台となる。ただしサラリーマンの場合は、大手であろうが天井はしれているが、大台を達成すると余程の業績悪化やリストラがなければ、そこから急落することはあまりない(役職定年までは)。一方でフリーランスの場合は、生涯その収入が維持される保障は全くない。波があるのは当然であり、勝ち続けるには多大な努力と幸運が不可欠となる。

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