5S

大学群

構成

・埼玉大学
・新潟大学
・静岡大学
・信州大学
・滋賀大学

レベル帯

C級上位

概要

中堅国立大学で構成された大学群。下位政令指定都市クラス(埼玉・静岡・新潟)や、大都市圏に程近いエリア(滋賀・信州)に所在する。

信州大学は都会から離れていそうに見えるが、北陸新幹線で長野から東京までは約1時間半で行けるので全然日帰り圏内(松本、伊那キャンパスはちょっと大変かもだが)。また、長野市内のキャンパスは長野駅からのアクセスも良い好立地。

大学群名の由来は、各大学のイニシャルから。新潟大学は一見すると”N”なのだが、略すと「新大(しんだい)」のため、”S”ということでセーフである。

当大学群は、一般的な地方国立大学と比べれば頭一つ二つ抜けた存在として評価されており、当大学群自体の認知度が高まり、全国的に幅広く知られるようになってきた。

大学紹介

埼玉大学

国立大学としては珍しく教養学部が設置されており、人文学・社会科学など幅広く学べるという点では、同質の学部は他の大学にもみられるものの、ハッキリと「教養学部」を名乗っているのは、国立大学の中では当学と東京大学のみなのではないだろうか。

「GMARCH」との比較・進路選択が話題に上りやすいが、当学は教員養成の色が強いからか「GMARCH」に比べると大手企業就職率が低め。それでも理系の場合は日系大手製造業に多く就職を決めており、この点は「さすが国立」と言える。

一方で、よく埼玉県 VS 千葉県もライバル関係として有名だが、県の代表大学が明らかに千葉県のそれに比べて分が悪いのは悔しいところだ。

新潟大学

2022年4月更新時にC級中位クラスから昇格。旧官立大学だが「5S」の大学の中では入試難易度や有名企業への就職率も少々厳しい模様で、従来は同大学群の中では唯一、一つ格が下がるC級中位となっていた。

しかし、公務員試験実績が高いこと、医療系学部の学生数が多いこと(旧六医学部だし名門)を考慮し、他の「5S」と比べても恥ずかしくない出口実績と判断し、ランク付けを変更した。

立地面では「5S」では最も東京から離れているのが不利なところだが、新潟は日本海側で第2位の大都市でありそれなりの経済圏を築いていることから、地元でも十分な受け皿があるのかもしれない。県の最高学府が金沢に負けているのは辛いところだが(マ○コ・デラックス曰く、「金沢より新潟の方がはるかに巨大な街」なのに)。

静岡大学

就職力があり、「有名企業400社実就職率ランキング」の20年度補正版では、当大学群トップであり、2割を上回る。東海地方ということでトヨタ系列の企業に多く就職しているが、静岡県は製造業も盛んであり、お茶だけでなく、三島地域・富士地域あたりでは製紙・化学工業などの大手メーカーが集結しているという地の利もある。

また、同県は2つの政令指定都市を抱える大県でもあるが、静岡市・浜松市、どっちにもキャンパスがある(100km近く離れてる)。どちらも駅からバスで行く必要があり、アクセス面は微妙なところ。

名古屋大学、名古屋工業大学に次いで、東海地方第3位の地位を名古屋市立大学と争っている(若干分が悪いか・・・)

信州大学

偏差値が比較的高くないことから、当大学群の中では新潟大学とともに下位に位置付けられることが多いが、むしろ「5S」トップクラスの実力を秘めているかもしれない。

有名企業就職率は静岡大学とともに健闘しており、B級大学である金沢大学を上回っているのではないかと感じるくらいの実績がある。長野県はセイコーエプソンに代表されるように情報通信機器などの製造が盛んである。

科研費も令和2年度の新規採択件数は全体の20位以内に入っており研究成果も上げている。このことから、入試時の偏差値の割には出口の実績が高いので、あまり目立たないながらも隠れた実力校としてオススメしたい。

滋賀大学

当大学群の中では学部数が少なく文系色の強い大学と言えるが、当学の就職力も近年注目を集めており、経済学部の中に著名なゼミがあり、超一流企業への内定も決めている。

その功績もあって関西ではプレゼンスを高めている印象があり、もはや、一地方国立大学という認識は過去のものとなりつつある。

関西では有名難関私立大学である「関関同立」も存在感があるのだが、同志社大学を除いて、W合格時の入学先としては滋賀大学の完勝である。

5Sのレベル

偏差値はベネッセで60強、河合塾で55弱となる。年次にもよるが、大学入学共通テスト(旧:大学入試センター試験)で求められる得点率は7割強といったところ(教育学部など7割いかなくてもボーダーにのれる学部も勿論あるが)。

この水準は各県トップクラスの公立進学校でいえば「平均よりチョイ上」くらいの位置となる。なので、地方の有名公立進学校の中で、悪い時でも学年平均は下回らないくらいの実力は付けておきたい。

就職など社会的評価

学歴フィルター

「5S」は当サイトでいうC級大学に属する。

私立大学については、大手企業の学歴フィルターに関して、B級大学は(超一流企業を除き)ほぼ引っ掛からないD級大学は残念ながら多く引っ掛かるという分かりやすい区分けがある。

しかし、その当落線上にいるのが、まさにC級大学であり、そのクラスの場合は企業によって学歴フィルターにかけられる大学の設定がまちまちとなり、なんとも曖昧な立場に置かれてしまっている。

しかし、朗報として「5S」などの国公立大学の場合は、私立のC級大学とは異なり、学歴フィルターの心配は殆ど無用であり、大手企業への挑戦権は得られる可能性が高い

ややこしくしてしまったのだが、同じC級と言っても国公立と私立では「学歴フィルター」など就職に関する事情は全く異なる(詳しくはC級大学のページにて)。

金岡千広との差

就職では大差こそないが・・・

とはいえ「ウチは学歴フィルター設定してます」と明言しているような企業はなく、上記の話は数々の一次情報・二次情報に基づくものである。そこで、実際の有名企業400社への就職実績はどうなってるのか、B級大学の国立総合大学群「金岡千広」と比較をしてみた。

大学名有名企業就職率就職者数
千葉大学18.1%3,668人
岡山大学15.2%3,287人
広島大学14.8%3,586人
金沢大学13.4%2,568人
金岡千広 総合15.5%13,109人
大学名有名企業就職率就職者数
静岡大学17.3%2,590人
埼玉大学15.1%2,218人
信州大学14.3%2,804人
滋賀大学12.1%863人
新潟大学10.6%3,106人
5S 総合14.0%11,581人


意外にも、一見すると「誤差の範囲じゃないか」と言ってしまいそうな僅差に見える。

ただ、大手企業への就活は大都市圏(特に東京)へのアクセスの良さが一つの鍵となり、その点では「5S」の方が「金岡千広」より好立地である。例えば、静岡大学は東京・名古屋どちらにも行きやすい上、県内には、地方にしては多くの上場企業が所在(全国11位)するため意外と有利な立地なのである。

そのような点を差し引くと、両大学群の実力差は見た目の数字よりは開きがあると考えられる。だが、学歴フィルターに引っ掛かる心配は殆どないと言われる「金岡千広」とそこまでの数字上の大差はついていないことから、確かに「5S」が大学名だけで落とされるケースは少ないと考えて差し支えないだろう。あまりイメージはなかったかもしれないが、意外とお得感があり、民間就職を見据える上でも「5S」は決して悪い選択ではない。

研究力では大差

ただ、「5S」と「金岡千広」では、大学の本分である研究力では確たる差がついている。研究力に関する指標の一つである科研費の採択件数は以下の通り。

大学群順位大学採択件数
金岡千広9位広島大学1,220件
13位岡山大学1,001件
14位金沢大学962件
16位千葉大学911件
5S17位新潟大学794件
24位信州大学606件
45位静岡大学348件
72位埼玉大学249件
162位滋賀大学79件

なお、教員一人当たりの採択件数、つまりリソースをどこまで効果的に使えているかという燃費でみると、以下となる。

大学群順位大学採択件数
金岡千広9位金沢大学0.814 件
17位広島大学0.724 件
20位千葉大学0.683 件
22位岡山大学0.682 件
5S26位新潟大学0.627 件
31位信州大学0.584 件
43位埼玉大学0.544 件
56位静岡大学0.497 件
103位滋賀大学0.371 件

いずれも「金岡千広」⇒「5S」という序列はハッキリとしている。「5S」もそれぞれ先進的な研究を持ち味としている分野を持つが、「金岡千広」はさらにその上を行っていると言える。間接的とはいえ研究力は、教育力・教員の質・推薦によって就職力に繋がることになるので、特に理系の受験生は慎重に志望校を決めた方がいいだろう。

※ちなみに滋賀大学については、経済学部・教育学部といった文系学部が中心であり、科研費採択件数等、研究力に関する指標の数値が伸びないのは仕方がない(理系の方が費用がかかるので)。

GMARCH・関関同立との比較

入試難易度

国立大学と私立大学としての違いから、単純に偏差値での比較が出来ないが、まず入口での苦労という点では「5S」と「GMARCH」「関関同立」ではどちらが評価されているのだろうか?結論、これは互角と言っていい。

科目数の多さや、チャンスの少なさから、一般的には国立大学の方が入試は大変である。しかし近年、私立大学が難化していることや、併願合格を目指すならば「金岡千広」合格者レベルですら容易ではない。

さらには、一般的な地方国立大学(C級下位クラス:県トップ公立高校のド真ん中層)のレベルでは、併願合格先として「GMARCH」「関関同立」クラスは殆どあらわれず、その下に位置するD級大学の代表格、「日東駒専」「産近甲龍」の併願にも度々失敗する。したがって、彼らが私立専願に転向するとしても「GMARCH」「関関同立」両私立大学群への合格は少々厳しいもの考えられる。

したがって、中堅国立の「5S」、難関私立の「GMARCH」「関関同立」で、難易度的には国立・私立の釣り合いが取れるのではないだろうか。

就職実績

就職面で言うと、数字上は「GMARCH」「関関同立」に軍配が上がるが、立地や学閥の違いを考えると当然の結果とも言える。また、国立大学の場合は公務員として就職する者も多い。「5S」、ついでに「金岡千広」ともに就職者の20%前後が公務員となる一方、「GMARCH」「関関同立」では10%にも満たず、そもそも民間志向・公務員志向のマインドに大きな違いがあるようだ。

研究力・教育力は圧倒的に国立優位なので、理系は「5S」に分があり、文系は迷いどころではあるが、働きたい地域によって決めれば良いだろう(とはいえ東京で働くことを勧めるが・・・)。

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