SPIと学歴(学力と学歴の違い)

コラム

注:当コラムはSPI等の試験対策コラムではありません。

大人になっても筆記試験

民間企業の就職試験においてはSPIをはじめとしてCAB・GAB・玉手箱など、もしくは企業独自で作成された筆記試験が関門の一つとして待ち受けることとなる。多くの場合、筆記試験は能力検査性格検査に大別される。

学生は面接試験の方に目が行きがちであり、どうしても筆記試験は軽視される傾向にあるのだが、多くの企業がわざわざ費用をかけてまで導入をしているので、採用自体のみならず採用後にも関係してくる程の意義がそこには存在している(企業も無駄なことはしない)。

能力検査

大学別平均点

かなり古いデータにはなるが、SPI模試の大学別平均点が集計されたことがある。現在においてもネット上のあちこちで貼られている有名な指標だ(ソースとなる冊子の画像も出回っている)。

【「SPI2形式問題」模試ランキング 2012年6月】

大学学歴ランク平均点
東京大学S83.35点
京都大学S83.24点
一橋大学S80.88点
東京工業大学S80.58点
大阪大学A79.45点
名古屋大学A79.11点
神戸大学A78.51点
東北大学A78.06点
横浜国立大学B77.78点
慶応義塾大学A77.65点
東京農工大学B77.04点
京都工芸繊維大学B76.50点
名古屋工業大学B76.45点
東京海洋大学C76.35点
九州大学A76.02点
名古屋市立大学B75.94点
早稲田大学A75.93点
お茶の水女子大学B75.90点
千葉大学B75.46点
首都大学東京B75.42点

僅差の中での比較ではあるのだが、全体的に「ほぼ偏差値・入試難易度どおり!」という印象だろう。当データが世に現れた当時は「ほーらな(笑)」全国の国公立大学生が大喜び。

旧帝国大学のA級国立大学である北海道大学の名前がないという疑問点や(集計対象に入らなかった事情がありそうだけど。まさかの圏外!?んなことある訳ないよな~)、各大学からの母集団の大小差・民間就職に対する意識の違い等によるズレは当然あるだろうが、大学受験時の学力とSPIの成績には立派な相関があると言って差し支えないだろう。

剥がれた化けの皮

上記に掲載したSPI平均点上位校の集計データの中には、私立大学が極端に少ないという特徴が明確に現れている。上位20校のうち私立大学は慶應義塾大学早稲田大学の僅か2校のみ。上位校の90%を国公立大学に占められてしまう結果となった。

SPIの能力検査は言語非言語の2種類に分けられるが、非言語は簡単に言うと数学(というより算数に近いが)の力をはかるもので、大学受験時に数学から逃げたケースが多い私立大学の文系学生はこの非言語を苦手としているのだ。大学受験の数学とSPI非言語を一緒に出来るのかという疑問はあるだろうが、SPI非言語レベル(中学までの数学レベル)でも数学的センスとは繋がってくるので、関係性は否定出来ないところ。

逆に、電農名繊の平均点が高い理由も、得意の非言語で差をつけているところが考えられる。また、私立大学の学生は推薦入学の比率が多いことも関係しているだろう。

つまり、言語・非言語あわせた総合的学力、一般・推薦を含めた学生全体で見ると、大変申し訳ないが私立大学の学力はこんなものであり、純粋な学力・地頭・偏差値・入試難易度では現代でもまだまだ国公立>私立で厚い壁が残り続けていることが分かる。

早慶」も「旧帝国大学」に及ばず(上位学部の一般組は別)、「GMARCH」も上位国立はおろか地方国立大学に対抗するのがやっとである(一般組でもせいぜい「5S」と同等くらい)。

だが、実際の就職実績はその通りにはなっていない。後述するが、それが我が国における学力と学歴の違いである

何故やるのか

フィルターは学歴だけではない

学力をはかるという点では「学生の学歴を見れば分かるはずなのに何故また筆記試験をわざわざ行うのだろう?」という疑問はあるはずだ。確かに、有名企業においては大学名だけで大多数の学生を選考対象から振り落としてしまう「学歴フィルター」が存在し、これが残酷な第一関門として悪名高い。

ただ、フィルターの設定は企業によってまちまちであり、私立大学だと多くの場合は「GMARCH」クラス以上で設定される。一方で、国公立大学でも一定のレベル(C級大学以上など)で区切るケースもあるが、大手でもやや人気が落ちる企業の場合は、すべての国公立大学生を通過させるケースも珍しくない。一世代における国公立大学の定員はだいたい13万人を上回るくらいなので、これにB級以上の私立大学生も選考対象に含めてしまうと、まだまだ学歴フィルターで人数を絞ったとしても、到底エントリーシートを一人一人じっくり読んだり、面接で応対することは出来ない。

そこで、SPI等の筆記試験によって次のふるいにかけていくという訳である。また、筆記試験を課すことで、たいした学力もなく推薦入試で有名大学に入れたニセモノをあぶり出す点でも有効である。

※ 念のため、推薦・AO入試で入学された学生さんが全員学力が低いなどと言うつもりはありません。高校での成績が良くないといけないので、むしろ一般入試で入った人より賢いことだってあります

かなり重視する企業もある

筆記試験をフィタリングや足切りとして位置付ける企業が多い一方で、筆記試験を採用判定として重要視する企業もある。

特定の能力・適性にこだわりを持ち、それらを兼ね備えた学生を求める企業は、独自試験を作成したり高難度なマイナー試験を採用し、学歴フィルターは敢えて緩めに設定して多くの学生に筆記試験を受けさせ、そこで厳正な選抜を実施する。

また、あまり学歴フィルターをかけない中堅クラスの企業も、筆記試験の方で多くの学生を振り落とすケースが見られる。

その他の使い方

S級大学A級大学の就活生ともなると、プレエントリー後など、かなり早い段階でリクルーター面談の機会が訪れる。

しかし、そこで「コイツはダメだ・・・」と思われた場合、面談はあくまで選考ではないという位置付けなので(もちろん実際はバリバリの選考。くどいが企業も無駄なことはしない)、不採用などの知らせは来ないが、後日、筆記試験を受けさせてそこで体よく不採用ということにすることもある。

面談の時点で不採用であることは既に決まっていたのだが「筆記試験で落ちた」ということにするのだ。その方がカドは立ちにくいかもしれないが、学生にとっては無駄な時間と労力を使わされたことになるので、結局は酷い話である。

性格検査

面接では分からないことを知る

SPIの性格検査以外にも、内田クレペリンやYG性格検査などが有名であり、受験者の協調性や攻撃性といった気質をはかることが出来る。また、一見すると小論文試験なのだが、実は内容は全く関係のない性格検査であることも。

「性格を見るために面接があるのでは」という疑問ももっともだが、限られた時間・回数の面接ではその学生の内面など知り尽くせるはずもなく、学生からしても「そんな茶番(ウソツキ大会)で俺の何が分かるんだ」っていう意見もあるだろう。

面接では見抜けない面をカバーするのが性格検査であり、現に面接官も大抵は素人なので面接で得た印象と性格検査の結果が違っていることも多々ある。性格検査において「クセが強い」という結果が出た者が採用され、現に職場で問題を起こしてしまったということもあり、意外と馬鹿に出来ないのが性格検査なのだ。

配属の参考にも

能力検査も含んだ話だが、筆記試験の結果により得た適性が、新入社員の配属先を検討するための参考にされたり、内定~入社までの課題新入社員研修メニューが人によって変わったりと、採用以降の未来に影響してくることもある。

転職でも必要

即戦力であることが求められるので、新卒に比べて能力重視になるキャリア(中途)採用だが、そうは言っても長期雇用が前提となるケースが殆どなので、筆記試験でその会社に勤める適性があるかを見られることは避けられない。

希望部署の面接官が「是非採用したい」と言っても、「非言語の点数が極端に低い」と人事にNGを出されるようなケースも。

これを書いている本人も転職経験者だが、何社か筆記試験で英語の試験(記述式)が出されたことがあり、これがいずれも非常に高難度であった。ボロボロでも内定が出たのだが、本当に英語力を見られていたのだろうか疑問であり、これも一種の性格検査だったりして・・・

・・・という風に筆記試験で重視するところ・見ているところは会社によって千差万別であり謎も多いが、その設計としては非常によく考えて作り込まれているのである。

学力と学歴の違い

当記事の序盤でも記載した通り、筆記試験の平均点、つまり学力が高い大学が、就職実績も高いとは限らない。先述のとおり筆記試験もあくまで足切りとして使われる企業が多く、採用の決め手にはならないからだ。そして、OBの数・発言力、立地条件、認知度・ブランド力、企業とのコネクション等、学力以外にも多くの要素が関係してくるのが就職試験である。

学力が高くとも成功するとは限らない、また、偏差値・入試難易度が高い大学であっても学歴力が高いとは限らないというのが我が国の社会における現実である。

もちろん、最も大事なのは個人としての能力・意欲・人間性・・・などと、つまらない事は今更語るまでもない。

最後に

不正行為はダメ絶対

推奨してるバカがいるが

筆記試験と言ってもペーパー形式だけではなく自宅でのWeb受験形式やテストセンターでの受験形式もあり、カンニング・替え玉受験・友人の協力を得た複数受験といった不正が横行している。

上記のような受験形式だと不正の難易度は高くなく、やろうと思えば出来てしまう状態なのだが、そもそも禁止行為であることは言うまでもなく、

  • 「バレなければ大丈夫」
  • 「人間性が一番大事なのに、それをアピールさせる前にSPIで落とすような選考フローがオカシイ」
  • 「面接まで何としても漕ぎ着けたい。俺を採用するのは企業にとっても良いことなんだから、SPIの不正は悪いことではない」

などという、SPIに限らず、何事も不正を是認・正当化するような考えを持つことは非常に危険であり、今後の人生において会社等でも不正行為に手を染めてしまう危険性にも繋がる。

不正のトライアングル

不正行為を是認・正当化してしまうようなマインドを持っていると、チェック体制が甘いなど不正が出来てしまう機会に巡りあい、なおかつ、借金してどうしてもお金が必要な時など不正に手を染める動機も揃った時、思い留まれずに心のタガが外れてしまうからだ。

SPIの不正ごとき思い留まれない奴など、上記のような状況に追い込まれたら確実に間違いを犯す。不正は、一度道を踏み外せば何度も繰り返し、スケールもエスカレートを重ね、暴走が止まらずに取り返しが付かない事態へと陥る。

「いきなり話を飛躍させて何言ってんだコイツ」と思われるだろうが、まだ火が小さいうちに「これくらい大丈夫」というのを否定出来るか否かで、その後の運命は大きく分かれる(踏み込んでしまえば、そこはもう地獄の一丁目)。

自らの墓を掘るか

社会では「法令」をはじめとして「社内規程」、さらには明文化されていない「慣例」「社会規範」など数多くのルールのもとで規律が保たれている。ルールを守るものはルールによって守られるが、ルールを破り、規律を乱す者はルールによって裁かれる。

社会人になると経済的・精神的にしんどくなる局面は何度も襲ってくる(生きるって大変)。さらには、所属部署にもよるが、会社に入ると多額のお金を扱うこともあり悪魔の囁きに誘惑されることがある(出納業務をしている人なんて毎日だろうな  笑)。

しかし、経営においては従業員に起因するリスクも無視できないので、会社に入ると従業員は思っている以上に中枢からよ~~~く見られており、ルールを遵守しない者には手痛いしっぺ返しが待っている。それは「倍返し」なんかじゃ済まない。自分のみならず家族もろとも人生終わりますよ。

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