2022年有名企業400社実就職率ランキングが出た

コラム

はじめに

出口評価の指標

当サイトでは入口評価 (入学の難しさや学力)と出口評価の両面から、畏れ多くも各大学の学歴力を区分けしている。

学歴が人生において最も力を発揮するのは大手企業への就職活動の時であることと、大学を卒業した者の8割は民間企業へ就職していくこと(就職が大学の本分でないことは承知の上だが)から、出口評価としては大手企業就職実績を最も重要視している。

「大手企業」 がどこなのかは確たる定義が存在しないので、勝手に定めることになるのだが「東証プライム」では2,000社を越えてしまいハードルとしては物足りないので、そこからさらに絞られた「日経225」「JPX日経400」あたりのレベル感を基準としている。

この中でもまだまだピンキリではあり、さらには、ここに属さずとも待遇・給与水準の高い企業は少なくないという面はあるが、大抵の業界大手や日本の代表的企業が含まれていることから、この辺りを「大手」のラインとして認識している。

「400社」の正体

正式に出されてはいないが

上記の水準に位置する企業への就職力を表した指標として、大学通信さんが毎年調査をされている 「有名企業400社実就職率ランキング」が最も有名である。この多大な労力が必要とされるであろう調査・集計にはただただ感服するばかりなのだが、この「有名企業400社」というのは具体的にどこの企業の事かは公式に明示されておらず、当ランキングについては様々な意見が寄せられていることも事実である。

実は、とある有料記事において「有名企業400社」の内訳と思しき情報を確認することが出来るのだが(ほぼ確定と言ってよい)、公式ではフリーにアクセス出来る術はないようなので、ここでは詳細は伏せる。

感想

パっと見たところ「まぁ、学生に人気そうな有名どころや伝統的な日本の大手企業は一通り入っているかな」という印象こそ受ける日経225 はほぼ100%入っていたのだが、細かいところでは「この企業があるのに何故あの企業がないんだろ??」とツッコみたくなるところは一つや二つでは済まなかった。

企業評価についても業績給与水準・ワークライフバランス・やりがい・・・などポイントは多岐に及ぶので、どの企業が良いかというのも人それぞれの主観に左右されてしまうのだが、より具体的な選定基準はどうなっているのか気になるところではある。

個人的には入れ替えをしたくなるような企業もあるものの、全体感として「大手企業」のイメージと大きく外れていた訳でもないので、出口評価の指標の一つとして利用させて頂いている。

22年卒版がリリース

22卒は難化?易化?

この季節がやってきた

前置きが長くなったが、2022年のお盆明けに「2022年有名企業400社実就職率ランキング」がリリースされた。

昨年度の21年卒では新型コロナウイルスの影響が就活市場を直撃したことで20年卒の就職率より各大学が軒並み成績を落としてしまったのだが、22年卒は全体的にそれよりもさらに悪化してしまったというのが第一印象である。現に、TOP100大学の有名企業400社への就職者数は22卒では21卒より1,400名ほど(推定値)減少している。

このご時世においてもいまだ「売り手市場」だとは言われるが、新型コロナウイルスの影響が長期化する企業の新卒採用も控えめな計画になってしまったことは想像に難くない(後述)。

コロナの惨劇を見た若者たちは

また、リクルートワークス研究所による「大卒求人倍率調査」によると、コロナ禍による景況感の不透明さにより学生の希望として中小企業から大企業への揺り戻しが起きたとのこと。つまり大手志向への急速な回帰が起きたのだ。

確かに求人倍率は従業員数1,000~4,999人規模の企業で1.14倍⇒0.89倍、5,000人以上の企業では0.60倍⇒0.41倍と明らかに厳しくなった。さらに、業績の悪化がより深刻さを増した中小企業においては採用意欲が特に薄れていたので、多くの学生が大手企業の門へと押し寄せたことになり、22卒の大手企業就活は厳しい様相を呈したことが窺える。

それだけでは片付けられない

・・・と思ったら、一方では同調査によると、従業員数5,000人以上の企業において採用予定数はむしろ微増だったようで、その数としては約1,300人のプラス・・・TOP100大学の昨年度比とはプラマイまるっきり逆の現象が起きていた。

大手企業の受け皿が増えたという状況の中で、多くの上位大学が成績を落としたということは・・・決して大きな人数ではないが、それ以外の大学の学生が見事、席の奪い取りに成功した可能性という光明も見えてくる。

ただ、当調査の対象となっていたのはあくまで採用「予定」数であり、こういう計画は蓋を開けたらいくらでもブレてしまうもの。また、TOP100大学の有名企業400社への就職者全体では35,000人以上(推定値)いることを考えれば、1,000人、2,000人というのは誤差の範囲と言えないこともないので、「可能性」の域を出ている話だとは言い切れない。

※ 9月初旬にリリースされた東洋経済さんによる続報的な記事によれば、やっぱり有名企業400社への就職者自体が減少していたようだ(1,600名ほど)

顔ぶれ

TOP100の入れ替わりは11枠

今回はTOP100大学までが紹介されているが、その顔ぶれも例年とさほど大きな変更は見られない。出入りがあったのは以下の22大学(各年度で順位が高い大学順)。

INOUT
兵庫県立大学金沢美術工芸大学
筑波技術大学静岡県立大学
創価大学京都府立大学
高崎経済大学名古屋市立大学
立命館アジア太平洋大学福岡女子大学
フェリス女学院大学会津大学
富山県立大学山形大学
宇都宮大学鹿児島大学
山口東京理科大学同志社女子大学
埼玉大学京都女子大学
大分大学広島工業大学

21年卒では70位台にランクインしていた、B級大学名古屋市立大学京都府立大学が今年は圏外になってしまい、公立トップクラスの大学でさえも苦戦を強いられている。2022年4月にB級中位⇒B級下位に格下げした (ワシもつらかったんだ) での更なる悲報に胸が苦しいばかりだが、両学とも学部構成の影響はあるはずで、公務員試験の結果も加味するとまた上位へと返り咲くことだろう(多分)。

※ 東洋経済さんによる記事で101位〜200位まで公開されたが、そこでも名古屋市立大学の名前が見当たらなかった。流石に200位未満とは考え辛く、同学は本音度調査では対象外となった可能性が極めて高い

地方国公立大学

入れ替わった大学には、 地方国公立大学も多く見られるが、その顔触れもわずかに改善は見られたものの20卒・21卒に比べると大きな変化はない。下図は、首都圏以外のC級・ D級の国公立大学の中でTOP100にランクインした大学数をまとめたもの。

2022年2021年2020年
1~25位1校2校2校
26~50位4校3校5校
51~75位10校11校8校
76~100位14校12校13校
29校28校28校

過去のコラムでも記載した通り、就活の面接形式については対面回帰が進んでおり、インターンや1次・2次面接などの前工程はオンラインで実施、最終面接などの後工程は対面で実施という使い分けをしていくのが、やはり一般的な着地点となりそうだ。

今はコロナの影響により地元志向が強まっている側面もあるので、コロナ収束後に地方の学生がどのような動きを見せてくるか、まだ遠距離移動・宿泊といった負担は残るものの、オンラインを駆使してどこまで大都市圏の有名私立大学生を脅かしてくるか、楽しみである(しかし数の力を崩すのはそう生易しくはない)。

下がった大学

意外と国公立多い

21年卒に比べて、成績を落としてしまった企業が TOP100 大学のうち6割以上を占める。中でも下落幅ワースト20大学は以下の通り。

大学減少分
東京工業大-12.2%
一橋大-5.9%
岐阜薬科大-5.7%
滋賀大-5.6%
神戸市外国語大-4.6%
東京海洋大-4.1%
学習院大-3.5%
技術科学大-3.3%
秋田県立大-2.9%
大阪府立大-2.8%
岡山大-2.7%
津田塾大-2.7%
国際教養大-2.5%
成城大-2.5%
秋田大-2.4%
芝浦工業大-2.2%
九州大-2.1%
熊本大-2.1%
立教大-2.1%
新潟大-1.9%

東京工業大学 -12.2%

ナニコレ!?!?

一際目を引くのが東京工業大学の大暴落である。 天下のS級大学において、とても衝撃的な事件が起きてしまった。

実は過去に似たような規模で暴落した年度がある。それが09年卒(55.7%)→10年卒(44.8%)の時代であり、これは明らかにリーマンショックの影響である。しかし、10年卒と22年卒で大きく異なるのは、前者では他の大学でも10%クラスの暴落がみられたが、後者ではここまでの急降下を見せたのは東工大のみである。他の理系単科大学ではむしろ21年→22年卒で上昇している大学も少なくなく(後述)、20年卒→22年卒と2年越しで見ても10% 以上落とした大学は見当たらず、これは東工大固有の背景が絡んでいると考えるのが自然である。

謎でしかない

10%以上下がったという事は、21年に比べて有名企業 400社への入社数が200名以上減少したということである。これほどの超一流大学ともなると数多の大手企業から多数の求人票が大学へと殺到することになり、理系単科大学の頂点に立つこの大学から、コロナ禍だからと言って唐突にそれ程多くの推薦枠が一気に消滅してしまうことは考えにくい(影響出るなら21年卒の時点で出ているだろうし)。

学生の志向として、伝統的な日系大手企業を目指す学生は東大・京大のように減っているのだろうか?いや・・・学部卒から就職した学生に関してはコンサル等への就職も見られるのだが、 院卒の場合はコテコテの国内大手メーカーが人気就職先一覧にズラリと並ぶ。当学の大学院進学率を考えると、その線は薄い。

単体での決定的な理由があると言うよりは、色んな要因が複合的かつ複雑に絡み合っている可能性もあるのだが、結局のところ確たる原因はよく分からないので、有識者の方がいらっしゃれば是非ともご教授願います (51.8%の間違いであってくれ 笑)

逆にスゴい

それにしても最も驚きなのは、これ程の大暴落を迎えたにもかかわらず順位が昨年度と全然変わっていないことである。後続との差は縮まってしまったものの、それでも2位という地位を守り抜いたというのは、むしろバケモノ振りを見せ付けているとも言える。

また来年度の就職率はV字回復を見せてくるだろうか?それとも今回のような傾向が続くなら、新たな時代の幕開けを迎えているのかもしれず、ここも今後注目すべきポイントだ。

上がった大学

よく頑張りました

一方で、3割強の大学は有名企業400社への就職率を上昇させており健闘している大学も一定数あるので、このコロナ禍も決して絶望的な就職氷河期という訳ではない。下図は成績の上がった大学の上昇率TOP20大学をリストアップしたもの。

大学上昇分
筑波技術大9.4%
山口東京理科大6.0%
宇都宮大5.7%
九州工業大4.2%
工学院大4.1%
フェリス女学院大3.8%
富山県立大3.3%
国際基督教大2.4%
東京外国語大2.3%
立命館アジア太平洋大2.2%
東京農工大2.1%
豊田工業大1.7%
岐阜大1.6%
室蘭工業大1.5%
千葉工業大1.5%
小樽商科大1.3%
電気通信大1.2%
高崎経済大1.0%
筑波大0.9%
横浜市立大0.9%

工業大学が目立つ

全体的に、理系単科大学が実績を上げている傾向にある。つい先程は、その番長にあたる大学の事件を取り上げたばかりなのだが、それ以外の同カテゴリ大学は全体として善戦していることが分かる。

最近、推薦枠が減らされてきてはいるらしいが、理系(特に工学部)は企業との強固なパイプでつながっており、操業の根幹にかかわる部分も多くて企業側からのニーズも高く、業界も幅広く選べるので、文系よりはるかに不況に強いという性質があり、このようなご時世では特に存在感が高まる。

宇都宮大学は公務員試験の実績も好調ながら、就職でも躍進を見せている。元々の母数は決して多い方ではないという背景はあるかもしれないが、理系の就職力が強い地方国立大学も少なくなく、そのような大学はランクの格上げを検討中だ(宇大は上げたばかりだけど)

大学群別では

今回はC級まで

大学郡別の位置関係はどうなっているのだろうか?偏差値通りなのかそれとも・・・?

大学群就職率
東京一工40.4%
早慶35.4%
電農名繊30.2%
上理ICU30.1%
地帝神戸27.6%
筑横千20.3%
関関同立19.2%
四工大19.1%
GMARCH18.8%
女子大御三家15.3%
金岡千広13.1%
5S11.9%
成成明学武9.2%

電脳名繊 強し

3割を守る

理系単科大学は21年卒より良くなった大学が多く見られたので予想通りだったとは思うが、「電農名繊」は「東京一工」に次ぐ程の好成績を見せた。外部要因にあまりとらわれない、抜群の安定感は実に魅力的である。

文理の運命

他の大学群に関しては例年通りだが、C級私立大学群は明暗が分かれている。まず「四工大」については、上位ランクのB級の私立大学群である「GMARCH」「関関同立」にも張り合う好成績をおさめている。実はここ最近エースの芝浦君が本調子ではないのだが、今年度では他の3大学がなんとか支えている印象だ。

女子大御三家」についてはいずれも1割台中盤に留まってしまい、想像ではあるが、総合職以外の採用が特に削られた影響が出ているのだろう。また、文系が多い「成成明学獨國武」(5つしかランクインしてないけど)も同様の結果となった。

完全に偏差値通りとはいかない

国公立、私立、総合大学、単科大学、それぞれのカテゴリ内においては、だいたい大学受験時のランク通りの順番にはなっているものの、地方国立大学は公務員への志向も強いため「金岡千広」「5S」でさえも「GMARCH」「関関同立」にみかけの就職率では大差を付けられている。

あと、大学群内での順位の入れ替わりも見られ「金岡千広」「GMARCH」ではそれぞれ公務員試験がお得意の2大学で明暗が分かれた。

※ご参考 補正してみる

興味本位ですが

民間就活に関係ない人は除外

2022年4月時のランク更新時に合わせて、出口指標に大きく関係する 「有名企業400社実就職率ランキング」の論点に関する記事もリリースしたのだが、冒頭に記載した①「有名企業400社とは具体的にどの企業なのか?」というポイント以外にも、②「総合職・一般職等の区別」③「公務員就職者・医療系学部の扱い」についても触れている。

②については詳細が大学等から公表されていないのでエビデンスがなく深屈りが出来ないのが残念なところだが、③に関しては「有名企業 400 社実就職率ランキング」算出に用いる分母を補正することで、より実態に近づけた補正版ランキングを独自に算出・作成したことが過去にある(20年卒版)。

22年卒のデータはまだないので

今回は、20年卒のランキングにおける補正前後での数値の上昇率をもとにして、22年卒でも同様の補正を施せば各大学同じ水準で数値が上昇すると仮定した場合、どのようなランキングになるかを大学別・大学群別で計算した。

念のためだが、流石に学部構成・人数・割合についてはそこまで大幅に変化するという可能性は低いが、公務員試験実績は年によって波があって然りなので、あくまで推定値に過ぎないランキングであることはご承知おきを。

③に関する補正方法

【分母を補正】学部卒業生数 + 大学院修了者数 ー 大学院進学者数 ー 公務員就職者数 ー 教員就職者数 ー 医療系学部卒業生数
医療系学部とは医学部(医学科・保健学科)・薬学部・歯学部・獣医学部をメインとしながら健康科学・栄養科学・保健福祉等の学部も含んでいる。
※ これはちょっと引きすぎであることは承知の上だが、公務員・教員就職者数には大学院からの就職者が含まれていないので、「おあいこ」ということでご勘弁を

大学別 補正ランキング

注)推定値 有名企業400社実就職率ランキング(22年度:分母補正)
※別タブで開きます

大学群別まとめ

大学群就職率
東京一工42.2%
電農名繊32.9%
地帝早神32.4%
上理ICU31.8%
筑横千23.5%
関関同立20.9%
四工大20.5%
GMARCH20.2%
金岡千広18.4%
女子大御三家16.6%
5S15.9%
成成明学武9.7%

A級大学は括り方が変わっているが、20年卒版では慶應義塾大学のデータがなかったため同学の補正が出来ず、今回は欠席しているのだ(どうなるか見たかった)地帝・早稲田大学・神戸大学は同じランク・同じ水準なのでまとめさせて頂いたが、あくまで期間限定ユニットである(こんな大学群はありません)

電農名繊 何でお前はそこにいるんだ

20卒との違いとしては、このような補正をかければ理工系単科大学は元のランキングより相対的に不利に働くはずなのだが、それでも「電農名繊」の順位がさらに上がってしまったことである(慶應義塾大学が抜けたのは大きいが)。「不況に強い理系」をこういう時代にこそ思い知らされる。

「金岡千広」と「GMARCH」「関関同立」の差は、20年卒では補正後ですら4.5%程度の開きがあったが、今回は2%弱となり確実に差を縮めている。私立大学の方が不況の時は就職により苦戦しがちになるようだ。

大学群の枠組みは強固だが

また、同志社大学と関西大学で大差が付いているように、同じ大学群の中でも差が拡大しているケースもある。当サイトの学歴ランキングは大学群としての位置づけも参考にはしているのだが、そろそろ大学群に縛られないランク付けも意識せねばならないか(獨協大学のような例も既にあるが)。

くどいようだが、補正をしたことで元のデータより実態に近づいているとは思うのだが、補正には過去の数字を使っているため、あくまで参考・目安程度にご認識頂ければ幸いである。

おわりに

時勢を映す

次の代である23卒は就活市場も活況の売り手市場だという声も多く、1年後にはまた流れも大きく変わっているのか、気が早過ぎるのだが、これまた楽しみなところである。

就職は受験とは違う

22年4月1日に出した「有名企業400社実就職率ランキング」に関する記事は「大学の大手企業就職力」というタイトルを付したが、当然のことながら、厳密には大学が就職をするのではなく、大学に所属する個々の学生が就職活動で結果を出したという話である。

ただ、面接・筆記試験などで発揮する個人の力が第一であることは間違いないのだが、それ以外にも立地・OBの数/結束力・ブランド力など、個人技以外の要素もしつこく絡んでくるという点が、民間就活が大学受験・公務員試験・資格試験等とは異なる点である。

個人の努力・実力とはまた別に、ある大学に所属することでどれだけの恩恵が得られるか、就職のランキングというのはそのような要素も反映されているのだ。

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